2024年11月22日(金)

裏ななつぼし旅

2015年11月7日

 さて、いよいよ天照大神を祀った正宮へ向かう。一段と人の数が多い。本殿からは人が溢れ、石段にこぼれ落ちている。お賽銭を入れてお参りするのも大変だ。

 「あら、お願いしちゃった」

 「だめですよ、ここは名乗る場所なんだから」

 「すいません、間違えました」

神様の前で謙虚さを取り戻す

 天照大神に謝っている。でも間違えたときは、相手が神様であろうと素直に謝るのが正しい。小平さんの健気な姿を見て、ぼくは考えた。そもそも神社とは、お願いをする場所なのだろうか。そんな料簡でいいのだろうか。お願いをする前に、まず感謝をすべきではないか。自分が、いま、ここに立っていることに感謝する。さらに神様の前で自分というものを謙虚に見つめ、確認する。そして気持ちを新たにし、未来へ向けて方向性を定める。別宮の荒御魂にお参りするときも、いくらか恐ろしげな神威を前にして、「がんばりまっせ!」という気分で手を合わせたいものだ。そうやって自分を強く保とうとする場所ではないだろうか。

©Naonori Kohira

 すっかり正しい人間になった気分で内宮をあとにした。さすがはお伊勢さんだ。今回ご紹介した参詣の仕方は、あくまで「ご参考に」という程度のもので、「これが絶対に正しい!」と言うつもりはない。本来の参詣の仕方からすると、かなり省略されてもいるだろう。それでも一つ一つの行為に意味があり、全体の手順にはストーリーがある。それらを多少なりとも心得ておいたほうが、お参りに気持ちがこもるし、自分が新しくリセットされる気がする。せっかく参詣するのだから、実践されてみてはいかがだろう。


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