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2015年10月2日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 それにしても、日本を代表する東大の世界ランキングが43位というのは、さみしい限りだ。早速この結果について東大にコメントを求めると、「コメントはしません」(広報)と、事実上、取材拒否だった。京大も同じようにコメントしてもらえなかった。

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 一方の文科省の森田正信高等教育企画課長は「『THE』によると評価指標のデータの取り方が変更になった結果、論文引用数のスコアが低下したようだ。この変更が日本の大学のランキング低下につながったのかどうかを分析したい。

 一方で、外国の大学がこの辺りを増やしているので、相対的に日本の大学の地位が下がる要因になったのかもしれない。日本の大学は留学生や外国人教員が少ないなど、国際性の面や論文引用が低下傾向にあるなどの問題がある。文科省としては、国際性や、研究分野の強化に引き続き取り組んでいきたい」

 ランキングで気になるのが、東大よりも一つ上の42位に中国の北京大学が入っていたことだ。44位には香港大学が入るなど、アジアの大学がじりじりとランクを上げてきていることも気になる傾向だ。中国やシンガポールの大学は、この数年、徹底的に国際化を進めてきている。

 この2年ほどは、東大、京大ともに「国際性」に関するポイントも上がってきていたが、今回の調査ではこの「国際性」が下がる結果になっており、文科省が予算を注ぎ込んで推進してきている大学のグローバル戦略の見直し材料になるかもしれない。

「実態では東大は世界のトップ10に入っている」??

 民間の調査機関の発表したランキングに対し、「一喜一憂しない」というのが文科省の立場のようだが、「たかがランキング、されどランキング」と言われるように、同省としてはランキングを少しでも上げたいのはやまやまだ。

 1年ほど前に東大の副学長をこのテーマで取材したときは「論文の被引用数などでは決して劣っていない。実態では東大は世界のトップ10に入っている」と自ら言い聞かせるように話していたのが印象的だった。

 副学長のその思いも期待を裏切られてしまった。日本の大学が不得意とするこの「国際性」を今後いかに克服していくのか、文科省、大学を含めてあらためて問われている。

  
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