ミンドレアは理科系で兵役終了後に技術者として大手電気会社に就職して携帯電話の開発設計に従事。どうも話から類推すると韓国を代表するS電子のようである。いわゆるエリートの王道だ。チョンヒは韓国医師会本部で事務をやっていた。この二人がなぜキャリアを捨てて自転車世界一周を決断したのか。
ミンドレアは理科系タイプで世間話や雑談にあまり興味がないようだ。チョンヒは典型的な世話女房タイプ。旦那のかわりに対外折衝を一手に担っている。チョンヒは絶好の機会とばかりにミンドレアに私と英語でおしゃべりすることで英会話練習をさせようと躍起。ミンドレアはどこ吹く風という按配だ。
意外に周到な事前準備と将来計画
チョンヒの説明では、ミンドレアは競争激烈な携帯電話の開発設計という残業が多い仕事に疑問を抱くようになり、もっと自由に生きて広い世界を見てみたいと考えるようになった。チョンヒも医師会の事務には未練がなかった。まず二人で話し合って更にミンドレアの実家とも相談して、将来はミンドレアの故郷の慶州で実家の土地や建物を利用して外国人向けのゲストハウスを開業することを決断したとのこと。
ゲストハウス開業の前にまずは世界を自由に見て回るため、二人の貯金を原資にして自転車世界一周を計画した。自転車と装備一式を買いそろえ、二人で自転車修理専門学校に3ヵ月通って修業したとのこと。自転車は米国のLong-Hauler,サドルは英国のBrooksなど全て有名ブランドの新品である。
ミンドレアが二人の計画をインターネットで公表して賛同するサポーター企業も探してきたようである。更に二人の日々の行動をネットで公開して企業広告収入を得る工夫もしているようだ。
二人が参考として私の海外放浪体験を聞きたいというので翌日お話しすることを約束して部屋に戻った。
⇒第12回に続く
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