2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2015年12月21日

大統領が視察

ジョコ大統領も地下鉄建設の視察に訪れた

 工事が行われている路線は、ジャカルタ中心部一番の目抜き通り「スディルマン通り」に沿った全長15.7キロ。総事業費が約1400億円で、日本政府が低利の円借款を供与、清水建設や大林組などが工事を担当、インドネシアでは初めてとなるシールド工法などを使ってトンネルや駅舎工事を進めている。12月上旬現在の清水建設ジョイントベンチャー工区の進捗率は50%。

 幅が70メートルある片側6車線の「スディルマン通り」の交通の邪魔をせずに、その真下の工区を掘削するため、車線数を減らさずに車線を移設して道路の中央部に作業帯を確保。土砂を運ぶダンプなどの大型車両の現場への搬出入を午後10時から午前5時の時間帯に限定するなど、交通への影響を最小限に抑えている。清水建設の大迫一也建設所長は「これほど交通量の多い道路の車線を変更して地下鉄工事ができるかどうかが一番の心配だったが、交通量を妨げることなく工事が順調に進行できてほっとしている」と話した。

日本から持ち込まれたシールドマシン

 日本から持ち込まれた2台のシールドマシンは1日に10~12メートルのスピードで24時間体制で掘削している。円筒状の地下鉄坑道を横に掘り進めることができるシールドマシンが動き始めた9月21日にはジョコ大統領が視察、その後ももう一度視察に訪れており、インドネシア初めての地下鉄工事への関心の高さを感じさせる。次の大統領選挙は2019年に予定されている。選挙の前の18年に地下鉄が開通すれば手柄話になるという目算があるのかもしれない。そのためにも工期の遅れは許されない。

 しかし中心部を南北に結ぶMRTが一本開通したからと言ってジャカルタの交通渋滞がすぐに解消するとも思えない。電車やバスなど既存の交通インフラといかに利用者にとって利便性の高い接続性を確保できるかが、渋滞解消には不可欠だ。これはジャカルタ当局が考えなければならないことだが、混雑緩和の交通インフラ整備について日本は経験とノウハウがあるから、単に技術と資金面の援助だけにとどまらず、ソフト面からも支援すべきではないだろうか。


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