2024年7月15日(月)

WEDGE REPORT

2015年12月21日

人件費は上昇

 工事には千人を超す作業員が投入され、そのうち大半がイスラム教徒。12時前に作業所に突然、大きな音でイスラム教のお祈りのコーランのメロディーが流れた。毎日5回、10分間ほどのお祈りタイムは欠かせないそうだ。これによる作業量の低下は心配したほどではないという。

 作業員の数はジャワ島ではいくらでも集められるが、難しいのがその作業員を束ねて働かせられる熟練労働者をいかに確保することだという。現在、ビルの建設ラッシュが続くジャカルタでは技術労働者は奪い合いの状況だそうだ。

 さらに気掛かりなのが人件費の上昇だ。特に作業員の最低賃金は毎年20%近く上昇しており、数年前と比べると倍近い水準になっているという。人件費が予想以上に上昇すると、見積もった段階と比べて採算が悪化する恐れがある。また工事に必要な資材の一部は輸入に頼る部分があるため、ルピア安の影響でコストがかさむ部分もあるという。

さらされる価格競争

 ジャカルタでは交通渋滞を解消するためにモノレールを建設する構想があったが、資金不足から計画は中断した。数年前にこれを中国が引き継いで工事を開始したが、結局これもとん挫、現在はモノレールが走る予定だった橋脚部分の鉄筋がむき出しのままで放置されている。

 しかし、日本政府が大きな期待を寄せていた大型プロジェクトの新幹線は中国に取られてしまった。日本のゼネコン関係者からは、予定されている新幹線ルートの途中には地滑り地帯があるそうで「あの部分に新幹線を通すのは相当の技術力が必要になる。中国の技術でできるかどうか疑問だ」という。

 負け惜しみかもしれないが、ゼネコンとしては、いまは受注した工事案件を着実にこなして、中国がコケたら最終的には日本の出番が来るとみている。果たしてその思惑通りになるかどうかは不透明だ。

 現在、東南アジアではインドネシアのほかにシンガポール、ベトナムでも地下鉄工事が行われており、清水建設は現在、この3か所で工事を請け負っている。日本のゼネコンの中では最大のシェアになっており、海外での地下鉄工事では強みを見せている。これまでの経験を生かした低コストでの見積もりにより受注を獲得し、今後はジャカルタの地下鉄の延伸工事でも受注をしたい方針だ。


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