2年に一度のクルマの祭典、「第41回東京モーターショー」が23日、千葉市の幕張メッセで開幕。会期は11月4日までの13日間(一般公開は24日から)。世界同時不況や国内自動車市場の収縮などの影響をモロに受け、出展企業数は113社と前回(2007年)に比べほぼ半減。中でも米ビッグ3など海外メーカーの出展は事実上ゼロと寂しいものになったが、トヨタ自動車など国産の完成車メーカーはハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)など自慢のエコ技術を前面に押し出した出展に力を入れ、少しでも需要喚起につなげようと躍起になっている。
21日の報道公開日。来年、日米欧で本格販売するEV『リーフ』などの前で日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「まさにゼロエミッション競争が切って落とされた」と、『リーフ』に続いて第2、第3のEVを市場投入していく方針を明言した。
また今年7月、世界に先駆けて量産型EV『アイ・ミーブ』を発売した三菱自動車工業も、20年には全生産車の20%をEVや、家庭の電源を使って充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)にすると、パワートレインの電動化をさらに推進する考えを強調した。併せてEVの商用車版やPHVのコンセプトカーを公開している。
これに対して、HV路線をさらに強化する方針を明確にしているのがトヨタ自動車とホンダだ。「(現状の二次電池が高コストであることを考えると)走行性を維持しながら燃費性とコストを両立させるには、当面はHVに優るものはない」(豊田章男・トヨタ社長)という考えによる。ホンダの伊東孝紳社長も「究極のエコカーはFCVやEVだが、コストを考えると当面はHVに全力投球する」と強調する。ただ両社ともHV一辺倒ではないようで、トヨタはHV『プリウス』ベースのPHVや小型EV、ホンダもFCVや小型EVなどを出展、開発面では全方位路線をPRしている。
一方でスズキは米GMと共同開発した中型セダン『キザシ』(21日から国内発売)を初公開、近い将来、HVモデルも追加する方針を表明したが、電動化技術で出遅れ感のあるマツダは当面の省燃費対策としては内燃機関のさらなる進化を強調。燃費とトルクを15%改善した次世代直噴ガソリンエンジン「SKY・G」などを公開している。
環境規制が年々厳しさを増すなか、浮沈をかけた各完成車メーカーの意気込みが、「未来の車」を中心に出展するモーターショーにあらわれた格好だが、すでに足元でもエコカーをめぐる駆け引きが始まっている。トヨタは3代目『プリウス』など今年だけで4車種のHVを市場投入する計画。ホンダは、これまでエコカー戦略について小型車はHV、中・大型車はクリーンディーゼル車とすみ分ける方針だったが、クリーンディーゼルの開発を凍結、「中・大型車についてもHV戦略を強化する」(伊東社長)方針を打ち出した。