2024年12月5日(木)

坂本幸雄の漂流ものづくり大国の治し方

2016年1月16日

 「今年こそは一念発起して英語をマスターするぞ」と意気込んでいる方もいらっしゃるのではないか。今回はビジネスマンに必要な英語というテーマについて書き留めておきたい。

 私は日本体育大学卒業後、テキサス・インスツルメンツ(TI)の日本法人に就職したが、入社時点で英語を話すことはできなかった。

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 入社後、倉庫と現場の間を行き来して製品を運ぶ仕事をしており、英語はまったく必要なかった。1年ほど経過し、企画部へ異動となった。部長は外国人だったが、課長が日本人だったので、英語を話す必要はなかった。ある日、部長の指示で課長と私の立場が入れ替わり、24歳で課長となった。多数提案していた業務改善の内容と数字に強い点が部長の目に留まったとのことだったが、直の上司が外国人となったことにより、突然英語が必要となったのだ。

 まずは日記を英語で書くことにした。これが意外と役立った。また、当時は24歳ということもあり、恥など感じなかったため、オフィスにいる米国人に、仕事中よく話しかけた。

 メジャーリーガーの川﨑宗則選手が、インタビューで文法などの細かい点を無視して、英語で話しているが、あのような姿勢も大切だ。恥をかくことを恐れると上達もしない。ちなみに今でも私は文法的に正しいかどうかということはあまり気にしない。

 39歳のときに米国勤務となったが、渡米前の語学力は中1履修レベルだったと思われる。当初の会議では内容がわからないので「もう一度お願いします」と何度も聞き直した。2年間米国で働いたが、最終的には、会議には不自由しなくなった。中2レベルまで上達したという感じであった。

 ここまで話すと「本当に英語を話せるのか?」というツッコミをいただきそうだが、「話せるし、話せない」というのが回答だ。そもそも人それぞれ必要な英語というのは異なり、すべての人がペラペラになる必要はない。メジャーリーグの選手であれば、チームメートとサインの確認など、野球の話ができ、ヒーローインタビューに答えることができればよい。

 私の場合は、会議や交渉ができればよかった。中学生レベルの英語と業界の専門用語さえわかっていれば、英語をビジネスで使うことができる。商談や会議は会話内容の想像がつき、出てくる単語もほぼわかるので不自由しないが、何を話すかわからないパーティーは未だに苦手だ。

 そんな私だが、何人もの外国人から「坂本さんの英語が一番わかりやすい」という評価をいただいている。簡単な単語を使ってロジカルに話すからだ。

 エルピーダメモリのCEO時代は、1人でも外国人が出席する会議は英語で行うことにした。日本人役員を語学学校に通わせるなどして、語学力向上を図ったが、今では彼らの方が私より英語が堪能になっている(笑)。

  
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◆Wedge2016年1月号より

 

 

 

 

 


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