海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年1月27日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

16年米大統領選挙と反職業政治家

 トランプ候補は現在の米国社会が抱えている諸問題の原因を、職業政治家やメディアといったエスタブリッシュメント、人種や民族の多様性、テロリスト及び、不法移民に帰しています。非職業政治家である同候補は、既存の政治家を攻撃対象の1つにして支持を拡大してきました。

 一方、民主党候補者指名争いでは、職業政治家でありながら反エスタブリッシュメントでアウトサイダーに見られているサンダース上院議員が、クリントン候補を追い上げています。サンダース上院議員は、クリントン候補のウォール街にある大企業との距離の近さやスーパーPACの活用を繰り返し非難し、有権者に同候補こそが正真正銘の職業政治家であるというメッセージを発信しています。

 「職業政治家・エスタブリッシュメント・インサイダー」の3つのカテゴリーに属するため不利な立場に置かれているクリントン候補は、民主党内で支持率80%のオバマ大統領の政策を擁護する候補者として自分を描き、サンダース上院議員からの攻撃をかわそうとしています。民主党候補者指名争いでは、クリントン候補は、オバマ大統領と近い距離に自分を置く選挙戦略をとっているのです。ここにも、クリントン候補のプラグマティックな思考様式が現れています。

 反職業政治家が支持を得る16年米大統領選挙では、各候補者は有権者が持っている職業政治家であるという意識を弱める選挙戦略を効果的に打ち出せるのかが鍵になるでしょう。


  
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