広義のIoTというビジョン
さくらインターネットは「IoTにはインダストリー4.0に代表される効率化を軸にした工場領域(狭義IoT)と、生活者に新たな価値を産むプロダクトのサービス領域(広義IoT)があるが、コンシューマに直接的に新たな価値や体験を産み出す(広義IoTの)分野に注力したい」としている。
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新しいアイデアやテクノロジーが生まれた時、メディアの過剰なあおりなどによって市場の期待が急激に高まることがある。しかし、その新しいアイデアやテクノロジーの未成熟さから、なかなか実際の製品やサービスとして実現されないと、その期待が一気に幻滅に変わる。そして、そのなかから成熟したものが生き残り、実際の製品やサービスとして市場に提供されていく。それはハイプ・サイクルと呼ばれている。
現在、テクノロジーの世界ではIoTとビッグデータが次のイノベーションを生み出すトレンドとして注目を集めており、この2つはまとめて論じられることが多い。
1. IoTデバイスから大量の情報を自動的に収集する
2. そのビッグデータを分析し業務的に使用する
3. 生活者の利便性を向上する新ビジネスを開発する
という考え方の「順序」が、特にマーケティング業界の過度な期待をあおっている。さらにコンサルタントやITベンダーも同様のシナリオでクライアント企業に関連システムの導入を迫る。
このような面をみると、IoTとビッグデータの組み合わせはハイプ・サイクルの頂点にあるようだ。IoTによってビックデータが収集できれば、何か(よくわからないけど)きっと素晴らしいことができるという。そこには、その情報で顧客にあった何か(既存の商品やサービス)を提案できれば、きっと顧客も嬉しいに違いないというマーケティング業界の思い込みがあるように思う。
「さくらのIoT Platform」が「コンシューマに直接的に新たな価値や体験を産み出す」ことを目指すならば、最終的に新しい価値や体験をデザインするデータの利用者と一緒に、どのようなデータをどう活かして新たな体験をデザインしていくのかということを考えていく取り組みが必要だろう。ツィッターで人々が何をつぶやくかは予測できないが、モノがつぶやくことはあらかじめ決められている。ニーズ側の視点でデータ自体をデザインしておかないと、タイムラインに利用価値のないつぶやきが溢れてしまいかねない。
【データのデザインについて】
期待度 ☆☆☆
達成度 ☆
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