2024年4月19日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年5月29日

 美魔女には先ず親から相続した杭州のマンションがある。これは現在賃貸している。最初の結婚で香港永住権と香港パスポートも手に入れた。香港人の元夫からの養育費・慰謝料などを資産運用して10年前にシンガポールにマンションを購入。そして現在は二人の年下のドイツ人との関係を最大限に享受して自分にとり最大のメリットを得ることを画策している。

 自身の美貌と知恵を武器に色恋を楽しみながら蓄財して自由で豊かな人生を生きる。これこそが中国社会伝統の生き方であり価値観であろう。もうひとつ私が彼女の話に惹かれたのは彼女の美貌もさることながら中国経済の行方に関心があったからだ。美魔女のようにいわゆる中国上層階級に属する人間は多様な人脈を生かして政治経済の動向を常に把握している。退職してわずかな資産で暮らしている私のようなオジサンにとり世界経済の動静に最大の影響を与える中国経済のマクロ的分析は常に興味の対象である。

 彼女も現政権の経済運営に関する情報は真剣にチェックしているようであり、私にとり非常に納得できたのは現政権上層部が経済で失敗すれば政治的混乱を惹き起こすという危機感を持っており、常に微調整しながら経済運営していることを美魔女は高く評価していたこと。彼女の情報源の一つは李克強首相の側近の経済専門家であった。

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 気が付くと時計は12時前である。彼女の華麗なる半生の物語を聞いたり、共産党の現体制の経済運営の裏話を聞いたりしていたら3時間以上も経過してしまった。美魔女が「あら、そろそろお昼ですわ。ランチ一緒にいかがですか」と艶然と誘ってきた。

 私は適当な口実を設けて丁重にお断り申し上げた。魅惑的美魔女とランチをすればワインなんぞを飲みながら延々と薔薇色的エンドレスの午後を過ごすことになるであろう。そして宇宙空間に何も遮ることのない自由人である彼女とどうなってしまうのか。そう考えると、歴戦の美魔女と行き着くところまで行くという覚悟がなく軽率にランチを一緒にできないと急きょ撤退したのである。今から考えれば意気地のない小市民的オジサンの言い訳であるが。

⇒第15回に続く

  
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