米マンハッタン研究所上席研究員でエネルギー問題専門家のマーク・ミルズが、1月18日付ウォールストリート・ジャーナル紙において、シェール石油・ガス産業は生き残ること、今後も技術開発で良くなることを強調しています。ミルズの論旨は次の通り。
石油価格はどこまで下がるのか。石油価格は上下する。1973年以来、極端な時期が6回あった。そのたびに金融市場が混乱するので、政治家などは適正価格を期待してきた。現在、石油はバレル30ドル以下である。それで石油関連雇用は10万人ほど減った。稼働シェールリグは60%減った。銀行は不良債権を心配している。全世界で石油・ガス資産2千億ドルが売りに出されている。
米国シェール産業はどうなる
米国のシェール石油会社は困難に直面している。昨年、24社が債務不履行に陥り、15社は破産を申し立てた。スタンダード&プアーズ社は75%の石油・ガス生産者にジャンク評価を与えている。
「雇用と収入」を作り出し、国を不況から救ってきたシェール石油は今後どうなるのか。今後もシェール石油業は痛めつけられ、借金の多い会社などは廃業に追い込まれるだろう。しかしほとんどの会社は生き残り、次の石油価格上昇時には良い立場にいるだろう。中国経済の減速があっても、今年世界の石油需要は130万バレル/日増えるだろう。アジアでの自動車所有は今千人当たり60-80台だが、これは西欧のレベル、600-800台に向けて増えていく。石油需要は基本的に伸びる方向を示している。
石油価格が上がり始めたときに、シェール業者は生産の準備ができていよう。OPEC、ロシア、イランは心配している。多くの外国生産者はバレル80ドルでないと予算を均衡させられない。しかし米国のシェール生産地の多くはバレル40ドルで採算がとれ、生産はとても早く再開できると言う。
通常の石油プロジェクトは、大企業や国家企業が長期計画を作り、十億ドルも掛かった。しかしシェール石油の生産は小規模で、何万もの採掘現場がある。採掘許可は数週間で得られ、採掘は何年ではなく、何カ月後に始められる。シェールは岩から石油を作る工場に似ている。価格が上昇すると、何千もの投資家がこの工場にスイッチを入れる。2009-2015年、米はこのやり方で急激に400万バレル/日の石油生産を増やした。そういう状況では、石油価格は上昇できないだろう。議会が米の輸出を解禁したので、なおさらである。