2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2016年3月4日

 株式市場や為替市場は一時的に動揺するだろうが、現行政策を続けたとしてもいずれ市場は大きな衝撃に見舞われる可能性が高い。それは、アベノミクスが当初から胚胎していた必然の代償でもある。傷は早いうちに治療した方が賢明だ。

 また、財政赤字削減が急務の日本に財政政策発動の余力は小さいが、既存国債を超低金利の超長期や永久債などに借換えしたり、GDP連動利子の永久国債発行で成長分野へのファイナンスを支援したりすることは出来るだろう。先進国の財政問題の本質とは、新興国と違って元本のGDP比ではなく、歳出に占める利払い費用の割合であるからだ。

民間金融にも必要な逆転の発想

 GDP連動利子の永久国債とは、株式に似たいわば成功報酬型の債券であり、民間金融機関の融資にもその方法は応用可能である。足許は厳しい環境にあるが将来性の見込める企業に対し、当初はゼロ金利を適用し、業績向上に応じて配当型の金利を支払ってもらうことを融資条件とすればよい。成長資金供給体制として、必要があれば政府がその元本の一部を保証するような手法も検討し得るだろう。

 マイナス金利の世界は、まさに鏡の国の世界であり、民間金融にも逆転の発想が必要になる。こうしたアイデアを現実化するのは容易ではないが、現状批判ばかりでは何も生まれないのも事実であろう。転換期に直面しているのは、アベノミクスだけではない。

  
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