2024年11月22日(金)

山陽新幹線各駅停車の旅

2016年4月16日

かどや

 道の角にあるから「かどや」。昭和14年から続く老舗の大衆食堂で、JR姫路駅から少し離れたところにある。地元の人は車での移動が当たり前だから、さして不便はないのだが、旅行者の私がわざわざ訪ねたかったのにはもちろん特別なわけがある。「絵に描いたような昔ながらの大衆食堂好き」仲間から、姫路にすばらしい店があると話に聞いていたのだ。

 昔よくテレビで見た、大衆喜劇の舞台のような店の中。小上がり席もあって、公民館の食堂のような気さくな雰囲気。40年以上通う常連もいれば、休みの日にさっぱりと朝からお酒を嗜む人もいる。小腹を満たすためファストフードより家庭的なこちらへと立ち寄る人も。客それぞれ、自分なりの利用の仕方があるのがいい。近所にあったら毎日のように通いたくなるだろう。

 店は家族みんなで切り盛り。当代主人は3代目で、24歳からこの道に。料理は親から教わった。「昔はうちみたいな定食屋、たくさんあったけど、今では珍しいみたいだね」。そう、珍しくて新鮮で楽しくて温かい。なにを食べようか、おかずを選ぶのも。自分でおでんを皿に盛るのも。厨房の中へ「めし、小、ひとつ!」と声をかけるのも。

兵庫県姫路市今宿車崎1丁目3-35
079-292-4572

丼ものなど「献立」の品書きは、厨房に向かって声をかけると、その場でささっと作ってもらえる。「めし+とん汁+味のり+生卵」など、組み合わせはお好みで
ショーケースの中には、刺身、サラダ、焼きもの、揚げもの、煮もの、小鉢と、おかずがずらり。おのおの好き好き、食べたい皿を自分で取り出す。どれも温めてもらえる
店の一角には、一年中おでん鍋。手頃な値段で、あれもこれもと欲張りたくなる。「姫路おでん」と呼ばれるこの土地ならではの食べ方で、しょうが醤油をかけて味わう
毎日通うご近所さんも多い。昼間に限るがコーヒーのセルフサービスコーナーもあって、おなかいっぱい食べたあとも、ホッとひと息つけるのがありがたい
JR姫路駅から徒歩20分以上かけてはるばる訪ねる人もいるほど。店の前を通る国道2号線は一方通行。駅から店へ向かうのに、何人かいればタクシーを利用するのが賢明。かわりに店から駅へ戻るときは、目の前にあるバス停から、ちゃっとバスに乗り込めるから安心だ

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