かどや
道の角にあるから「かどや」。昭和14年から続く老舗の大衆食堂で、JR姫路駅から少し離れたところにある。地元の人は車での移動が当たり前だから、さして不便はないのだが、旅行者の私がわざわざ訪ねたかったのにはもちろん特別なわけがある。「絵に描いたような昔ながらの大衆食堂好き」仲間から、姫路にすばらしい店があると話に聞いていたのだ。
昔よくテレビで見た、大衆喜劇の舞台のような店の中。小上がり席もあって、公民館の食堂のような気さくな雰囲気。40年以上通う常連もいれば、休みの日にさっぱりと朝からお酒を嗜む人もいる。小腹を満たすためファストフードより家庭的なこちらへと立ち寄る人も。客それぞれ、自分なりの利用の仕方があるのがいい。近所にあったら毎日のように通いたくなるだろう。
店は家族みんなで切り盛り。当代主人は3代目で、24歳からこの道に。料理は親から教わった。「昔はうちみたいな定食屋、たくさんあったけど、今では珍しいみたいだね」。そう、珍しくて新鮮で楽しくて温かい。なにを食べようか、おかずを選ぶのも。自分でおでんを皿に盛るのも。厨房の中へ「めし、小、ひとつ!」と声をかけるのも。
兵庫県姫路市今宿車崎1丁目3-35
079-292-4572




