訴訟社会を映す連盟の提訴
W杯でも全7大会の出場で3度の優勝を誇る米女子代表。この輝かしい成績も連盟と選手会が頂点を目指し一枚岩にならなければ成し得なかったはず。それだけに、「連盟が今回の事案を法廷に持ち込んだことにとても落胆している」と肩を落とすニコラス氏。結んだ言葉に力を込めた。
「(あまりの驚きに)笑いさえ出てくる。労使協定の有効性ならびに基本合意の期限切れについて、見解にまったくの相違がある。絶対に譲れない」
現行の労使協定が結ばれた際の選手会に対する連盟側の支払い金額を伝える一部米メディアもあるが、これに関しても、双方の言い分は一致せず。過去に先例がない両者の法廷闘争。しかし、今回のそれは米国の社会通念の一つ、「まず訴訟。次に話し合い」を照らし出す。連盟側は辣腕弁護士を多く抱える法律事務所を後ろ盾とし、選手会側はNFL選手会の外部弁護士を雇い入れ、徹底抗戦の構えを見せている。
「提訴取り下げはあり得るか」
連盟事務局宛てのこの問いに、未だメールの返信はない。
過日、連邦地裁は陪審による審理を必要としない、裁判官だけの判断により判決を出す「略式判決」の日程を発表した。それによると、3月から始まっている公聴会や必要書類の提出を吟味し、5月26日の口頭弁論で判決を待つことになる。
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