2年前にFさんは自分から旦那に離婚をきりだした。息子たちも理解してくれたので、念願であったチェンマイでの一人暮らしを1年前から始めた。Fさんのお話を伺っていて何か身につまされる感じがした。男は自分中心の家族という幻想に生きているのではないか。つまり男は家の主であり外で仕事をしているのだから女房子供は自分に従うものだという幻想をどこかに抱いているのではないか。ところが子供が独立して仕事も引退してしまうと男の立場は様変わりするという現実を素直に受け容れられない。
Fさんがお荷物の旦那と自分の余生を天秤にかけた気持が手に取るように理解できた。家で何もしないでご飯が出てくるのを待っている旦那ほど女性にとって不愉快なものはないであろう。Fさんの言葉をわが身に置き換えて重く受け止めたチェンマイの夜であった。
(完)
バンコクのジャイナ教寺院で儀式の三角巾を被った邦人風異教徒
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