今回の原油価格の下落だけでも、消費税の3%分を上回る輸入金額減となったわけで、アラブの王様が消費税増税分を返してくれたくらいのプラス効果があったわけです。
以上を総合的に考えると、中国経済が仮に失速したとしても、失速の程度にもよりますが、日本経済への打撃はそれほど大きくならないと考えて良いでしょう。少なくとも、米国経済が失速した場合とは比べ物にならないほど小さな影響だ、という事は覚えておきたいものです。
そもそも中国経済は失速するのか
そもそも中国経済は本当に失速するのでしょうか? 筆者は中国経済の専門家ではありませんが、中国経済の専門家たちの話を聞く限り、日本のマスコミで懸念されているほど中国経済は悪くない、という印象を持っています。
おそらく、中国経済のウエイトが製造業や建設業からサービス業にシフトしつつあるのでしょう。これは、ペティ=クラークの法則に沿った自然な動きです。それにより、工業生産等は減っていますが、それによる雇用の減少分はサービス業がカバーしているので、それほど失業者が溢れているというわけでは無さそうです。
中国のGDP統計等は信頼性が低いため、輸出入統計や貨物輸送料統計など、製造業関連の数字から中国経済の状況を推測しようとする場合が多いのですが、そうした試みでは製造業からサービス業へのウエイトシフトが起きている時に実態を見誤る可能性があります。
今後も、中国経済の動向には要注目ですが、過度に悲観的な観測に惑わされない事が必要なのかも知れませんね。
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