2024年7月16日(火)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年5月7日

広州ー昆明ー大理ー麗江ー香格里拉ー欽徳ー梅里雪山ー西双版納ー建水
(2016.2.4-3.17 42days 総費用12万4千円)

香格里拉(シャングリラ)の紅軍抗日博物館にて

石鼓にある長江源流の金沙江を紅軍が長征の途上で渡河した栄光を讃える「紅軍長征過麗江記念館」

 2月25日 香格里拉古城(旧市街)の中心広場にある紅軍抗日博物館を見学。例によって中国共産党・紅軍の栄光の抗日戦争や中国統一の写真や資料が山盛りに陳列されている。

 雲南省は歴史的に地域ごとにチベット族、ナシ族、白族、ハ二族、タイ族……と多くの少数民族に分かれている。それをマジョリティーである漢民族が中華人民共和国に統合するためには抗日英雄の紅軍(共産党)と少数民族の英雄の共闘という格好の政治宣伝材料の図式が欲しかったのであろう。紅軍に協力した少数民族の村長達が開明的英雄的指導者として紹介されている。

 雲南省北部では1957年以降に3度のチベット族の対共産党支配への抵抗運動が繰り返されたようだ。展示の説明書きによると、西側が理解するこれらのチベット族による民族としての自治と自由を求める抵抗運動を“歴史の摂理に逆行する反動的悪逆勢力による破壊活動”と断定し、紅軍がチベット族民衆を“解放”するために勇敢に奮闘し見事に反動的悪逆勢力を制圧したと書かれている。この言葉のレトリックが白を黒と言いくるめる共産党宣伝部の真骨頂であろう。

紅軍記念館のプロバガンダ写真。進駐してきた紅軍幹部と紅軍に協力した一 部地元民代表。「各兄弟民族の団結万歳」と読める横断幕

 

雲南省の観光地に移住してくる漢民族

 香格里拉古城のゲストハウスに5泊したが毎夕近くの同じ大衆食堂に出かけた。比較的値段が安く大盛であったからである。女将は中国の北端の黒竜江省ハルビン出身の65歳。20年前に旦那と子供を連れて香格里拉に移住して食堂を始めた。旦那は5年前に他界したが成人した子供たちに手伝ってもらい食堂を経営している。

 香格里拉のゲストハウスのオーナーは四川省出身。大理の食堂は遼寧省出身。西双版納のゲストハウスは広東省のオーナーが買取り新装開店。建水は歴史的にハ二族・タイ族の街であるが100軒以上が軒を並べる土産物屋街では上海、重慶、成都、杭州など雲南省以外の出身地を示す看板が多数を占めていた。 

(写真左)少数民族の地元の若者が舟を漕いで紅軍兵士を載せて渡河した様子を描いた社会主義的写実主義の群像
(写真右)記念館の建物に復元された往時のスローガン「紅軍は我々労働者農民の軍隊 である」

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