定年バックパッカー海外放浪記

2016年5月7日

»著者プロフィール
閉じる

高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年、横浜生まれ。神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

 山小屋の近くに天然温泉が出るシャワーがあるが日没後は冷え込みが厳しく隙間風が吹き込む小屋でシャワーを浴びる元気がなく防寒着を全て着込んでかび臭い毛布をかぶって寝た。しかしマチルダは寒風が吹きすさぶ中でしっかりとシャワーを浴びて髪まで洗っておりその欧米女子的な逞しさに感心。

上雨崩村の梅朶国際青年旅舎(名前だけ立派な山小屋)からの梅里雪山の眺望

 3月2日 西当温泉から山道を5時間かけて3800メートルの峠まで登る。前日夜に降った雪に足を取られ難儀。それから雨崩村まで2時間かけて下り青年旅舎(ユースホステル)に投宿。チベット族の家族経営であり生後7カ月というチベット犬がいるがセントバーナードの成犬よりも大きい。ヤクのバターと塩が入ったチベット茶を飲んで一息つく。

 3月3日 朝から快晴。珍しく梅里雪山の山容がくっきりと展望できる。日帰りで付近の滝や渓谷をハイキング。

 3月4日 雨崩村から6時間かけて飛来寺まで移動。最初の2時間はひたすら渓谷の川沿いの道を下る。それから断崖絶壁の山道を3時間歩く。崖を削って作った幅が1メートルもない山道であり真下に見える渓流まで1000メートルの落差があり滑落の危険があり慎重に歩く。途中で迎えの車に乗り夕刻7時近くやっと飛来寺に到着。

上雨崩村から飛来寺に向かう断崖絶壁山岳ルートの日中仏共同チーム

 飛来寺のゲストハウスで夕食。雑談をしていたら政治の話になり男子学生の小趙は現在中国では共産党員以外の候補者が立候補可能なのは行政の末端のレベルだけであると説明。しかし誰もが自由に立候補できる民主主義的選挙を実施するには民衆の政治的意識が低く混乱を招く恐れがあると指摘。女子学生のシドニーも政治的自由よりも政治の安定と経済成長を優先するべきと発言。二人とも共産党員ではなく、中国社会ではエリート階層に属さないむしろ極めて普通の学生という印象を持っていたので二人の発言にいささか当惑した。2人とも淡々と自分の意見として語っていたので普段からこのような政治的問題に関心を持っていたのであろう。

 他方フランス人のマチルダは民主主義の弊害は無能な人間でも大衆の人気を集めれば政治家になれてしまうことだと指摘。なるほど東京と大阪という日本の二大都市で同時にコメディアン出身のタレントが知事になったことを思い出した。

 完

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る