Wedge REPORT

2016年4月30日

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 熊本地震では、本震翌日の4月17日午前9時半の時点での熊本市の避難者数は10万8266人(人口の約15%)であった。ただし、この避難者数は指定避難所に避難した人数であり、自家用車を含む指定避難所以外の場所に避難した人数を加えれば、更に多くの避難者が存在したことは確実だ。ちなみに東日本大震災において仙台市では、地震翌日の避難者数は10万5947人(人口の約10%)であった。

熊本県健軍駐屯地の糧食班((Wedge編集部撮影))

 

 熊本市と仙台市の事例から推定すると、大都市では大規模災害直後に人口の10%~15%を超える避難者が発生し、水や食料などの支援物資が必要となる。この推定に基づけば、東京区部(人口925万6625人:平成25年1月1日現在)では100万人を超える避難者が支援物資を求めることとなる。しかし、被災直後の混乱の中で膨大な支援物資を多数の避難者に迅速に供給するのは至難の業である。政府・自治体は東日本大震災以降、支援物資の供給要領の改善を進めてきたが、熊本地震では東日本大震災と同様、避難者への支援物資供給は困難を極めた。

熊本地震における支援物資の供給要領

 災害時における支援物資の供給要領には「プル型」と「プッシュ型」がある。プル型は支援物資のニーズ把握が可能な被災地へ、ニーズに応じて物資を供給する要領であり、プッシュ型はニーズ把握が不可能な被災地へ、ニーズ予測に基づき物資を供給する要領である。プル型は必要な支援物資を無駄なく提供できる利点がある一方、被災直後の混乱の中ではニーズ把握に時間を要し、結果的に支援物資の供給が遅れるという欠点がある。一方プッシュ型は、ニーズが把握できない場合でもプル型よりも迅速に支援物資を提供できる利点がある。しかし、ニーズ予測が外れた場合には支援物資の余剰・不足が発生するという欠点がある。今回の熊本地震では発災直後にプル型が実施されたが、支援物資の不足や遅配が顕在化したため、2日後の4月19日からは政府主導でプッシュ型への移行が始まった。その後、九州地方での物流がおおむね回復したことから同月23日には政府がプル型に戻した。

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