2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2016年5月1日

難しい善意とニーズのマッチング

 益城町で災害ボランティアセンターが立ち上げられたのは「前震」発生から1週間後の21日のこと。最大震度7という激しい揺れに襲われ、多くの家屋が全壊。倒壊を免れた家でも瓦が大量に落下したり、壁に亀裂が入ったりと、被害は甚大だった。町の中心部に車が入ると、渋滞になり復旧の妨げとなるため臨時の拠点を確保し、県内外の社協の応援を受け、何とか開設にこぎつけた。

支援ニーズとボランティアのマッチング中

 ただ「安全に作業してもらうことは難しい。余震が続くなかボランティアを呼びかけることにも躊躇があった」と胸の内を打ち明ける國元さんは、ボランティアに「自己責任」、「自己完結」をお願いしている。

 開設初日は約200人のボランティアが駆けつけたが、実態は「供給過多」であった。というのも被災した家屋の「応急危険度判定」が済まないと自宅に立ち入ることはできない。ライフラインも復旧していない状況では自宅に帰りたくても帰れず、片づけをする段階になく、個人のニーズが少なかった。そのためボランティアには避難所の炊き出しを中心とした作業が割り振られた。

 2日目には初日の倍の約400人が訪れた。避難所での配食や簡易トイレの掃除、物資の仕分けなどを手伝っていた。家屋周辺の瓦礫撤去のニーズも少しずつ出てきた。この日から潜在的なニーズを掘り起こすために、社協のスタッフが避難所や被災者の自宅を訪れ、ボランティアを必要とするニーズの調査をはじめた。こうした御用聞きと、電話による支援要請を集約し、必要人員を算出し、ボランティア派遣の可否を判断した上で、マッチングを行っている。

 ただ、開設間もないこともあり、ボランティアの資格を活かしたマッチングまではできていないようだった。「理学療法士の資格を持つ若い女性2人に割り振られたのはゴミの仕分け作業。もっと被災者に喜ばれる支援はあるのでは」との声も聞かれた。

 現場でも一部で混乱が生じていた。あるボランティア参加者は、運営側から瓦礫撤去の指示を受けて現場へ向かうも、到着すると家主は不在。現場の家屋には「応急危険度判定」で、倒壊の危険を示す黄色の貼紙も貼られていた。結局ボランティアセンターへと引き返し、再度マッチングに参加することになった。


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