教育の原点を考える

2016年5月15日

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夏期合宿にてかまどで風呂沸かし

あかり:自分の努力が認められたという喜びを実感したのは、中学1年生の時に寄宿生のお弁当づくりを任されたことや、2年生の夏期日課(1カ月間の夏合宿)で「食当(食事づくりの責任者)」を経験したことです。平均して50人から60人、多い時には100人以上参加する合宿の食事づくりに責任をもつ役割で、寄宿生にとっては憧れの役割です。今思えば中学2年生なのでまったく力不足でしたが、後輩にだけでなく先輩や大人にも指示を出すのは貴重な経験でした。今、卒業生の立場で食当の姿を眺めていると、当時はたくさんの人に支えられていたのだとあらためて気づかされます。

 先生や大人の方が塾生の頑張りを褒めてくれるので、遣り甲斐が増します。

共同生活で磨かれる周囲との関わり方

うらら:合宿中の食事づくりでは、寄宿してない塾生や後輩などの経験の浅い人に頼むより自分がやった方が早いと思う場面があります。しかしそこを我慢して、彼らに仕事を頼みかつ自分の能力の範囲でサポートする力を磨くのは、はじめ塾での大切な学びの一つだと思います。

 私の場合、食事づくりや作業はあまり得意でなくてイラスト描きが好きなので、チラシやパッケージの挿絵を頼まれることが多いです。指名されるのはけっこう自信につながりますね。

ふうた:塾生はまず「えり好みをせずに色々なことに挑戦する姿勢」を修得し、次に「自分の得手不得手を理解し、自分が今できるかどうかを判断する力」を磨くというステップを踏みます。私の場合、はじめ塾で自分はできることは自分でやるという力を身につけましたが、できないことはきちんと断るという能力をあまり磨けなかったように思います。また自分でできることを自分でやってしまい過ぎると、人に頼んだり人を使ったりすることが苦手になるのかもしれません。自分の能力に見合った指導の仕方を心がけて一歩一歩マネジメント能力を身につけていくのが良いと思います。例えば、言葉だけではなく紙に手順を書いたりして、少し手間がかかっても的確に指示する経験を積むのも良いのではないでしょうか。

あかり:試行錯誤すること自体が学びであって、結局は、食当が後輩に教えているのではなく、食当自身が教えられて一番学んでいるのだろうと思います。さらに食当には、自分の感情や体調と行動を完全に分けてコントロールする力も求められます。どんなに機嫌や体調が悪くても食事づくりは必要だし、自分の指示で動く人達に対して安定した態度でなければ信頼を得られません。このことは、食当に限らず共同生活という環境の中では大切な姿勢で、卒業した今でも一番意識しています。

うらら:自分のように適当に力を抜くタイプと、何事にもきちんとしているタイプとの間では、どうしても感情のぶつかり合いが起こりがちです。それは当事者だけの問題だと思っていましたが、実は取り巻いている周囲にも心配や迷惑をかけることになると気付くようになりました。周囲や相手との距離の取り方を今も学んでいます。

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