2024年4月21日(日)

ちょいとお江戸の読み解き散歩 「ひととき」より

2016年5月21日

 「東海道五拾三次之内 鞠子(まりこ) 名物茶店」は、歌川広重さん37歳のデビュー出世作となった東海道五拾三次シリーズの1枚です。この作品には5人の登場人物が描かれています。

Photograph c 2016 Museum of Fine Arts, Boston. All Rights reserved. William S. and John T. Spaulding Collection, 1971 21_5034

 

 14代目が切盛りする名物茶店

 春まだ浅き夕暮れ時、空がピンク色に染まり、梅の花がほころびています(②)。日本橋を出発して、最初の宿場・品川から数えて20番目の宿場『東海道五拾三次之内 鞠子(丸子)』は、現在の静岡市駿河区丸子辺り、東海道の中で一番小さな宿場といわれています(④)。歌川広重さんが描いた茶店の真ん中には「名ぶつとろろ汁」の立て看板が見えます。この周辺は、江戸時代から山の芋・自然薯の産地として知られ、脇に置かれた鋤(すき)とむしろ(③)は自然薯を採るための備品と思われます。

 今から約200前、江戸の人たちは神社仏閣に参拝するという名目で、観光旅行を楽しみました。そのきっかけのひとつは、今の静岡市生まれの十返舎一九さんが享和2年(1802)に書き始めた旅行記『東海道中膝栗毛』が大ブームを博したこと。そこに登場する主人公のコンビ、通称「弥次さん、喜多さん」は一躍人気者になり、広重さんはこの2人のキャラクターを準レギュラー出演者のように『東海道五拾三次』(天保4~5年、1833~34年)に度たび描いたのでした。ここにも彼らと思しきお2人さんが、鞠子の茶店で、赤ちゃんをおぶったおかみさんの接客で鞠子の名物とろろ汁を食べているではありませんか。

 


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