2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月30日

 4月23日付の英エコノミスト誌は、欧州とロシアはお互いどう話せばいいのかわからなくなっている、これは危険である、という解説記事を書いています。その要旨は、次の通りです。

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欧州との対話に興味失ったロシア

 アクション映画にあるように、気違いが卑劣な計画を実行に及ばないようにする最善の方法は彼に喋らせ続けることである。時間を稼いで、人質を助け、暴力は為にならないと説得する。これが、欧州諸国がロシアに対して行っている方法である。ところが、プーチンは西側との和解に興味を失ったらしい。ウクライナの東部では今なお銃弾が飛び交う。しかし、孤立したロシアは一層予測不能で危険となり得る。従って、話し続ける他はない。

 問題は話の材料を探すことにある。今週、ロシアのクリミア併合とウクライナ侵攻のために中断していたNATO・ロシア理事会が開かれたが、両者の隔たりは大きく、会合は予想通り空疎なものとなった。

 先週、バルト海では米海軍駆逐艦および米空軍偵察機に対するロシアの戦闘機の嫌がらせがあった。ケリー国務長官は駆逐艦が発砲しても許される異常接近だったと述べた。昨年11月にはトルコがロシア軍機を撃墜した。不測の事態を避けるためには軍事的な透明性と情報交換が必要であるが、ロシアは殆ど関心を示さない。ロシアは予測不能の行動に出ることに価値を見出しているという見方もある。


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