Wedge REPORT

2016年7月4日

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 以前から資源管理措置の強化を水産庁に訴えてきた長崎県壱岐島の漁師らは、今年4月に「2016マグロサミットin壱岐」を開催し、資源の持続的な利用と回復について議論を行った。同サミットには、北海道から沖縄まで全国各地の沿岸漁業者が参加した。

 「資源の減少を訴えても『壱岐でクロマグロがいなくなっただけでは』と言われることもあり、悔しい思いをしてきましたが、今回のサミットで改めて全国のクロマグロ漁師が資源の減少に困っていることがわかりました」と壱岐の尾形一成さんは話す。

 全国の沿岸漁業者が特に問題視し、壱岐のマグロサミットでも議題にあがったのが、産卵期の巻き網漁業だ。

クロマグロ資源量の下方修正を受けて、資源管理措置を強化するか否かが注目されている (JIJI)

 これまで水産庁は「産卵期における日本海での巻き網漁業により漁獲される産卵量は全体の6%に過ぎず、影響はほとんどない」と説明してきたが、冒頭で触れた親魚資源量の下方修正により、この数値が過小評価であることが明らかとなった。

 資源が著しく減少しても、毎年産卵期になれば、クロマグロは勝手に産卵場に集まってくるため、高性能のソナーを使えば比較的容易に漁獲できる。太平洋を広く回遊するクロマグロだが、産卵場は日本海沖と南西諸島沖の2カ所しかない。産卵時期もわかっているため、他の漁と異なり、かなりの高確率で獲ることができるのだ。

 沿岸漁業者らが怒っているのは、卵を産む前に巻き網で一網打尽にしてしまう点だ。クロマグロが日本海沖で産卵するのは6~8月であり、いまがシーズンである。産卵期の巻き網漁業の拠点となっている鳥取県境港では、連日水揚げされたクロマグロの腹を割いて大量の魚卵が取り出されている。その多くは魚粉に加工され養殖魚のエサとなる。

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