ネット炎上のかけらを拾いに

2016年6月28日

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他人の「無知」を笑いたいだけなのでは?

 筆者は以前、ある動物愛護団体に取材をしたことがある。当時、ファッションアイテムである毛皮の反対には同意できても、肉食反対は理解できなかった。人間は食べなければ死んでしまう。動物がかわいそうだから食べるのをやめようというのは、まず現実的ではないし、非常に偽善的ではないか。

 しかし取材をしてみて、その団体へのイメージが変わった。彼ら彼女らは「ミートフリーマンデー」という活動を教えてくれた。海外で始まった運動で、週に1日だけ肉食を控えようというキャンペーンだという。なぜ週に1日だけでも良いのか? それは、1人が少しずつ肉を控えるだけでも、劣悪な環境下で飼育される動物が減るから。大量の需要が過剰な生産を生む。放牧でのびのびと育てられる畜産ではなく、狭いケージの中に閉じ込められたまま生涯を終える動物を減らしたい。体の向きも変えられない柵の中で飼育される母豚、狭いケージの中でほかのニワトリに踏みつぶされて一生を終える一羽も少なくない。「ありがたく命をいただくのであれば、その生のかたちも可能な限り尊重したい」、取材した女性はそう語った。

 この論理に納得のいかない人もいるだろう。偽善だと言う人もいるだろうが、筆者はひとまず彼らの考え方がよくわかった。「肉を食べるなんて野蛮人」と言われるのでは? 取材前はそうドキドキしていたが、そんなことは全くなく「それぞれが自分のできる方法を選択すればいい」とも言われた。実は筆者は取材時、フェイクファーのつもりでリアルファーの小物を身に着けるというありえない失敗を犯したのだが、それについても「今はリアルファーがすごく安い値段で売られているから、気づかないで買っちゃう人が多いんですよ」と優しく教えられた。怒られなかったのだ……! 

 そんな経験があるからこそ、ディズニーランドで毛皮反対アピールを強行した女性たちの行動が残念でならない。彼女たちの「正義」は、多くの人にとってそうではない。世の中を本当に変えたいのであれば仲間を増やすしか手段はないのに、なぜ威嚇するような態度を取り、排他的になるのか。なぜ、スタッフにけんか腰で挑んだり、自分たちの後ろで肉を食べている他の来場者を写真に撮り、サムダウンのポーズをとるのか。「動物を食べてる時の人間の顔が凄く怖くて、、、」と書くのか。

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