2022年10月1日(土)

オトナの教養 週末の一冊

2016年10月29日

»著者プロフィール
原田伊織(Iori Harada)
1946年京都府生まれ。大阪外国語大学卒業。広告会社でコピーライターやマーケティングプランナー等を務めた後に起業。現在、株式会社Jプロジェクト代表取締役。

 「本当は、老中・阿部正弘など彼ら幕臣の業績・名前こそが今日の教育の場で伝えられるべきなんです」

 さも残念そうに、腕組みをした。

 広告業界に身を置く原田さんは、若い時から作家志望で、大阪外大の先輩、司馬遼太郎の歴史小説などを愛読してきた。しかし、どうしても肯定できない部分があったという。

 「吉田松陰・坂本龍馬・勝海舟を過大評価して、その結果、明治維新を一大革命とみる視点です。それはどう考えても違うと思いました」

 例えば龍馬の仲介した薩長同盟。

 龍馬が宿敵薩・長を結びつけて結局維新に至ったというのが通説だが、文書は両藩の署名もない桂小五郎の私的書状で、会津・桑名藩をけん制する確認状にすぎない。大体、「同盟」の4カ月も前に伊藤博文、井上馨の両長州藩士が「薩摩藩士」を装って薩摩藩邸に滞在、活動していたのだ。

 「龍馬は言わばグラバー商会の営業マンです。亀山社中とは、英国・薩摩・長州の間で大量の新型武器を交易する組織でした」

 「驚いたのは、英国に政変がなければ、英国シナリオの明治維新になっていたかもしれないことです」

 「強硬なパーマストン首相が1865年に急死したために、〝死の商人〟グラバー商会もそれ以上の干渉を控えた。幕末の最終局面で、日本にとって神風が吹いた、と言えます」

 次は、原田史観の第3弾『大西郷という虚像』を刊行とのこと。
 

  
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◆Wedge2016年7月号より

 

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