定年バックパッカー海外放浪記

2016年10月30日

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[フランス中西部Le Puyからスペインの聖地Santiagoを経てMuxiaまで]
(2015.4.22-7.16 86days 総費用37万円〈航空券含む〉)

集団で歩く韓国人巡礼者たち

 6月下旬になってくると聖地サンチアゴまで100キロを切り欧州各地から聖地につながる巡礼道が徐々に合流して巡礼者の数が際立って増えてくる。本連載第10回にて紹介したように韓国人巡礼者はアジア系では圧倒的最大多数であり連日頻繁に韓国人巡礼者に出会う。

釜山出身、国際貿易専攻の韓国女子ドミニク嬢と赤ワインでご機嫌の酔っ払いのオジサン

 韓国人巡礼者で人数が一番多いのが男女の大学生グループである。次が中高年のおばさん仲間のグループである。韓国人は一人で巡礼を始めても途中で知り合いになり数人で連れ立って歩き、さらに大きなグループを形成してゆく。ハングルで賑やかにおしゃべりしながら歩いており、巡礼宿に到着すると共同キッチンで一緒に韓国料理を煮炊きしている。

韓国人青年マティウスの悲恋

 ある晩、韓国人青年マティウス(本連載第10回ご参照)と宿が一緒になった。彼は韓国女性のミス・キムと同行していた。既に600キロ以上彼女と二人で一緒に歩いていることになる。二人とも若く見えるがマティウスは43歳、ミス・キムは41歳でともに独身である。私から見ると二人はお似合いである。

 マティウスは高校卒業後仁川(インチョン)近くの工場で働いており勤続20年を契機に1年間の休暇を申請した。サンチアゴ巡礼を終えたら日本、カナダ、米国、南米と旅行を続ける計画であった。他方でミス・キムは事務員をしていたが仕事を辞めて巡礼旅をしていると聞いていた。

左からミス・キム、マティウス君、オジサン

 彼ら二人が最初に出会った時から過去三週間なんどか二人と一緒の宿になり二人が次第に親密になってゆく様子を見てきた。あるとき巡礼宿でマティウスの隣のベッドに寝ていたミス・キムが夜中にそっと起き出して中庭のベンチで月を見ていたことがあった。偶々トイレに立った私は彼女を見つけたのでベンチで一緒に話したが、彼女は想い悩んでいたようであった。マティウスの気持ちが理解できないと嘆息した。

 それで巡礼も残り数日で終わるというその晩にマティウスにミス・キムと結婚するのか率直に尋ねたところ、「ミス・キムは良い女性で好感を抱いている。でも自分は独身主義者なので誰とも結婚しない。そのことは彼女も理解してくれている」と淡々と語った。

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