インドシナ半島のこれら三カ国では中国系銀行や食堂、宿屋、旅行代理店、商店・スーパー等などの華人スモールビジネスが都市部のみならず農村部まで席捲していたのである。しかし元来中国と地続きであり歴史的に華僑文化圏であるので余り違和感やショックはなかった。
こうした地域の観光地では中国人若者バックパッカーを対象にした中国系ゲストハウスも繁盛しており漢民族の経済圏拡大を象徴しているようであった。
インドネシアの中国語教室
2015年2月~4月にインドネシアのスマトラ島、スラウェシ島の秘境を中心に旅をしたがジャカルタ以外では必ず中国人と間違われた。インドネシアの地方でも商用・観光で訪れる中国人が急増しており小さな地方都市でも民間の中国語教室が濫立している。いずれにせよ中国政府と近年急速に関係を深めているインドネシアなので漢人商人が勢力を拡大していることは当然と受け止めた。
「それならチャイニーズ・マーケットへ行くべきだよ」
サンチアゴ巡礼を振り返るとスペインの日曜・祝祭日にはお店が閉まり食料が調達できず途方に暮れることが何度もあったが土地の人に開いている店がないか尋ねると中国人の商店(チャイニーズ・マーケット)を教えてもらったことが何度かあった。巡礼街道沿いの町は人口数千人からせいぜい数万人規模の田舎町であるが、そんな田舎町でも中国人が進出しているのだ。例えばLogronoのオーナーは40前後の中国人夫婦で使用人も中国人の若者一人であった。彼らのスペイン語は数字がやっと話せる程度で英語も片言のみであったが商売には支障ないようであった。
安価な中国雑貨や中国食品も置いてあるがメインの商品は地元の店と変わらない。昔ながらの地元の店は日曜・祝祭日は営業せず平日でも昼間は閉めてしまい営業時間も10:00~13:00、16:00~19:00と限定されて不便である。