2024年12月23日(月)

易経に学ぶリーダーシップ

2016年10月15日

 「硯(おお)いなる実(このみ)食(くら)われず。君子は輿(こし)を得(え)、小人は盧(ろ)を剥(は)がる」(剥卦・上九爻辞)

「易経」の成り立ち

 今月から、朱子の著した『周易本義』(しゅうえきほんぎ)にあらわれたリーダーシップについて述べていきたいと思います。皆さん、よく「易占い」という言葉を耳にすることがあると思います。易占いとは、中国の『易経』をベースにしたものです。古代中国において『易』という書物がまとめられ、これが発展して紀元前10世紀頃の周の時代に『易経』(『周易』ともいう)となりました。

 『易経』については、多くの学者が注釈書を書いています。私はこれらのなかでも、朱子の著した『周易本義』について研究していますので、この『周易本義』をもとにお話を進めたいと思います。

 朱子は1130年に生まれ、1200年まで南宋の末期を生きた人であり、皆さんよくご存じのように、「聖人学んで至るべし」と士大夫(したいふ)(当時の知識階級)の自立的な倫理の確立を説き、いわゆる朱子学を大成した人物です。

 朱子は、『周易』とは卜筮(ぼくぜい)(筮竹(ぜいちく)を使った占い)の書であると考えていました。

陽と陰から成る八卦

 「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦」ということわざがあります。易の基本は、この八卦(はっか)にあります。「はっけ」と「はっか」、どちらが正しいのかと思われるかもしれませんが、易では「はっか」と呼んでいます。

 ここで、簡単に八卦(か)についてお話しておきましょう。八卦は陽と陰で成りたっています。陽と陰を表す際には、陽を(━)、陰を(➖➖)で示します。また、━や➖➖の一つひとつを爻(こう)と呼びます。卦は、この爻を3つ組み合わせて作られています。これをまとめると下の図のように8つの卦ができます。それぞれの卦には、名前がついています。

 これが、八卦です。余談ですが、韓国の国旗を見ると、このなかの乾、坤、離、坎の4つの卦が描かれていることがわかります。

 さて、易占いでは、八卦を2つ重ねて作られた64の卦を用いて占います。たとえば、剥は坤と艮の卦からできています。

 前置きが長くなりましたが、易の基本が陽と陰を組み合わせた8つの卦からできていることを覚えておくと、これからのお話がわかりやすくなると思います。


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