2024年12月4日(水)

ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2010年4月2日

 WEDGE Infinityの読者の皆さんは、国民皆保険を目指す米国初の医療保険制度が議会で歴史的な承認を得るまでの数週間、「この法案は頓挫する。それはバラク・オバマ大統領が弱体過ぎて、しかも十分な努力を払わなかったせいだ」という論調を目にしていたに違いない。

 だとすれば今ごろ、法案成立という結果に驚き、あらためて「一体この男は誰なのか?」と疑問を感じているかもしれない。

 そう思っているのは読者の皆さんだけではない。この疑問は医療保険改革法案の議会可決以来、大勢の人の口に上っている。評論家も一般市民も一様に、以下のような場面で「新生オバマ」に気づいた。

ようやくヒーローに変身? オバマの手腕をチェック

3月21日、医療保険改革法案が可決。喜びの表情を見せるオバマ大統領、バイデン副大統領とスタッフたち

 最初は、言うまでもなく、医療保険改革に絡む出来事だ。オバマ大統領は改革実現を極めて個人的な約束にしたが、終盤に向けてはそれを公約として、議会の民主党議員に対しはっきりと、大統領自身の政治生命が彼らの手中にあると語っていた。

 次に、医療改革法案を議会で可決させるや否や、オバマ大統領は保守派のイスラエル首相、ベンヤミン(通称ビビ)・ネタニヤフ氏から挑発を受けても、決して屈しなかった。

 読者の皆さんは、米国のジョー・バイデン副大統領が先にテルアビブを訪問した際、アラブの土地に1600戸の住宅を建設する新規「入植」計画の発表で「アメリカが歓迎された」様子を見聞きしたかもしれない。こんな時、歴代の米国大統領ならば、強力な利益団体の圧力を受けて弱々しい抗議の言葉を口にせざるを得なかったにもかかわらず。

 しかし、オバマ大統領とホワイトハウスの報道官は、ネタニヤフ首相について、批判的でかつ驚くほど個人的な発言を繰り返した。そして、その発言を裏づけるように、イスラエルに対して、同国が以前約束した新規入植の停止(凍結)を要求した。

 もちろん、ここで重要なポイントは、オバマ大統領はパレスチナ人およびサウジアラビアのパレスチナ支援者に対し、米国がイスラエルの保守政権内の反和平勢力に断固立ち向かう姿勢を示す必要があったということだ。だが、本当に重要なポイントは、オバマ大統領が実際それをやってのけたことなのだ!


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