自動車教習所なんていらない時代
当社の経営陣は、我々との交渉を拒むことはしないし、誠実に向かい合ってくれます。不当な労働行為もなく、働きやすい職場にはなっていると思います。だけど、そこであぐらをかいてはいけない。今後、業界を取り巻く環境が厳しくなることは避けられません。数年もすると、18歳人口は激減します。
様々な試みはしておくべきなのです。ここ数年、労組として、高齢者が増えることを踏まえ、高齢者講習(70歳から74歳までの運転手の免許更新)の体制を整えようと経営側に訴えてきました。社長が指揮をとり、体制を急ピッチで進めました。都内の教習所では、高齢者講習に通う方の数は相当に多いことで知られるようになっています。
教官が高校へ行き、自動車の運転などについて話すことを始めました。企業研修もスタートしています。消防団にも、組合員が参加することにしました。
地域から慕われる教習所を目指しているのです。2011年の震災以降、防災体制も強化しました。いずれも労組と経営側が知恵をしぼり、取り組み始めたものです。
自動車の運転技術は、「レベル3」(条件付きの自動化)になっています。早いうちに、「レベル4」(完全自動化)になるでしょう。自動車教習所なんていらない時代が来るのかもしれません。そのくらいのことを想像し、産業や会社のことを考えないといけない。
労組であろうと、会社の経営のことを考えるべきであるし、提言や提案を積極的にするべきでしょう。それをしない労組ならば、潰れたほうがいいと私は思っています。賃上げだけを求める労組なんて、いりませんよ。
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