米国のペンス副大統領、ティラーソン国務長官、マティス国防長官が、欧州を訪問し、トランプ政権はNATOを引き続き支持するとして欧州諸国の懸念を鎮めるとともに、NATO諸国に防衛負担の増額を求めました。これについて、2月19日付のウォールストリート・ジャーナル紙は、「米国はNATOを安心させる」との社説を掲げ、米国の姿勢を支持しました。その要旨は次の通りです。
トランプは選挙中の発言で米国の同盟国を不安にしたが、最近、安心させようとしている。第一が日本で、マティス国防長官の訪問、安倍総理の訪米があった。先週は欧州にペンス副大統領、マティス国防長官が行き、NATO支持の約束と軍事費の増額を求める演説をした。
2月15日、マティス長官はブリュッセルで次の通り述べた。「米国は責任を果たす。米国が同盟への約束を弱めるのを見たくないならば、あなた方は共通の防衛への支持を示すべきである。すべてのNATO諸国は少なくともGDPの2%を防衛費に当てるとの約束を果たさなければならない」
マティスは正しい。現在、28のNATO国の内5カ国、英国、エストニア、ギリシャ、ポーランド、米国が約束を守っている。米国はGDPの3.8%を使っており、NATOの軍事支出の約3分の2を負担している。GDP比で少ないのはドイツの1.2%、デンマークの1.2%、イタリアの1.1%、スペインの0.9%である。プーチンがウクライナを切り取り、シリアやリビアの危機で、百万以上の移民、難民の洪水が欧州を襲っているのに。
ペンス副大統領はミュンヘン安保会議でこの不満に触れたが、同時に米国のNATOへの約束を果たすと明言した。彼は「トランプ大統領の名においてこう保証する。米国はNATOを強く支持する。我々の大西洋同盟へのコミットメントは揺るぎない」と述べた。彼は「トランプ大統領が可能と信じているロシアとの共通の場を捜しつつも、米国はロシアの責任を追及していく」と述べた。
トランプ政権が米国の伝統的な同盟国への尊敬を示しているのは良いニュースである。トランプは中ロとの関係を再交渉する意図を持っているようであるが、議会は特にロシアについてはタカ派である。トランプは強い同盟を持てば、より強い交渉の基盤に立てる。
出 典:Wall Street Journal ‘The U.S. Reassures NATO’ (February 19, 2017)
https://www.wsj.com/articles/mattiss-nato-warning-1487291303