WEDGE REPORT

2017年4月26日

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 「討論会も、開票作業も公衆の面前でやるので、公平性は担保されていると思うけど、結局投票はできないのだから、ある意味〝選挙ショー〟というか、ただのパフォーマンスに感じてしまう」と、ばっさり切る人もいた。一方で、ある年配の香港人は、「選挙については、予めすべて制度として決まってしまっているのだから、仕方がない」と嘆息を漏らす。実は香港では、年齢が上がれば上がるほど、そう考える人も少なくない。長らく植民地であったため、「政府の見解は絶対」との考えが、ある意味染みついてしまっているのだ。

 この選挙は日本を含め世界各国から報道陣が集結した。メディアセンターで筆者の隣に座ったのは、スペインのラジオ局だった。雨傘運動によって、社会が分断したまま選挙を迎えるということで、開票会場前では、民主派と親中派の両方のデモ隊が集結。一部のデモ隊は、警察と揉める事態になった。選挙前から物々しい雰囲気であったため、メディアパスを取得するまでのセキュリティーは厳しく、パスの受付所にたどり着くまでに、最低3回は警察やガードマンに身分の証明をする必要があった。

 現地メディアの報道も一段と加熱していた。たったの1194票しかないため、即日開票どころか、候補者、投票した人、メディア、開票の様子が、傍聴する権利をもった市民の目の前で開票される。現地メディアは双眼鏡を抱えたスタッフを用意し、担当者の手の動きをカウント。数え終わった時点で、すぐにソーシャルメディアやウェブサイトに開票結果の速報値を流した。筆者は偶然、カウントする人のすぐ傍にいたので、キャリー・ラム氏の得票数が物凄いペースでどんどん積み重なっていくのを聞いていた。ちなみに、公式の投票結果発表前には、選挙管理委員会が無効票だったものを大きな画面に映しだし、なぜ無効票であったのかを説明した。

 開票現場では、メディアと立候補者と投票者のゾーンは腰までの高さの仕切りで区切られているため、会場全体を俯瞰することができた。そこで感じたのは、「人口700万人を超える先進都市のトップが、『この仕切りの中で決められている』という不条理」である。

仕切られた投票ゾーンに座る人たちだけで香港の行政長官は決められた(左)、「バズーカ砲」だらけ。世界中から集まったメディアが投票結果に注目している(右)。

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