このたび、原丈人さんとの対談本が出ましたのでご紹介・宣伝させていただきます。 『だれかを犠牲にする経済は、もういらない』(ウェッジ社、本体価格900円)というタイトルです。
最初の「たまたま」は、ある青年でした。この青年は、ある会社の財務部門に勤めていたとき、私の「経理・財務」本を読んでいたのだそうです。その後ひょんなことからウェッジの編集者となり、「たまたま」私に会いにきてくれたのでした。
それからいくつもの「たまたま」が重なり、2008年4月に月刊WEDGE誌の特別企画として、「米国型の資本主義は人類を幸福にしない」という題で原丈人さんと対談をしました。対談場所は、原さんの泊まっていた新宿のホテルの喫茶室でした。そのとき私には、ある天啓が落ちてきました。
「原さん、いつか対談本を出しませんか?」
私は思わず、そう言っていました。それからみんなでホテルの外へ出て記念写真を撮りました。別れ際に私は、「さっきの対談本、やりましょうね」とまた言ってしまった。WEDGEの記者さんたちはちょっとびっくりしていました。
私のこの2回の提案に対して、原さんは、あのとっても魅力的な笑顔で、「やりましょう」と言われたのです。
あれから2年2カ月。やっと、いやいや、やっとやっと、2人の対談本がここにできたのです。その間、WEDGEの安斉辰哉編集長以下、大江紀洋さん、大城慶吾さん、友森敏雄さん、そして書籍部の山本泰代さんなど、ウェッジ社の方々の熱意には本当に感謝して頭が上がらない思いです。そしてなんといっても原さん、ありがとうございます。
60代までの私は、「自分は古い人間、もしかすると古代人かもしれない」と思い込んでいた。なぜなら私は、現代人の必須アイテムのうち、ファックスとテレビ以外はまったく無縁だからです。羅列をお許し願って、関係しないものまで挙げていくと、車の運転、ゴルフ、メール、クレジットカード、携帯電話、ATM、ワープロ、パソコンなどなど。
こんな古代人ではよくないと思っていましたが、70歳を過ぎた頃から、無理をしなくていいと思うようになりました。便利な現代の情報社会に逆らって生きているほうが、自分という人間に対して正直であるような気がしたのです。現代社会の流儀から見れば、むしろ70代の「新鮮人」です。「新鮮人」の5カ条を挙げましょう。