2024年12月18日(水)

WEDGE REPORT

2017年5月14日

FBIに宣戦布告

 解任をめぐる真相はまだ藪の中だ。しかし、ホワイトハウスの解任理由の中に、コミー氏がFBIの職員の信頼を失っていた点が指摘されたことに対して、捜査官らから強い反発が出ている。ワシントン・ポストは捜査官の1人の発言として「ホワイトハウスは事実上、FBIに宣戦布告した」と伝えた。

 コミー長官の解任でマッケーブ副長官が長官代行を務めることになる。同副長官は上院情報委員会の証言で「ロシア疑惑捜査は極めて重要」として、捜査の続行を宣言。捜査の妨害や捜査に影響を及ぼそうとする試みには抵抗すると述べ、ホワイトハウスからそうした圧力があれば、議会に報告すると強い意思を明らかにした。

 トランプ氏は自分に忠誠を誓う人物でありながら、中立的に見えそうな長官の後任探しをすでに開始したが、そうそう都合の良い人物が見つかるわけはない。候補として、コーニン上院議員、ラティグ元連邦高裁判事、ゴーディ下院議員らが取り沙汰されているが、人選に手間取ることも予想されている。

 しかしマッケーブ長官代行の下では、ロシア関連疑惑の捜査にこれまで以上に拍車がかかり、トランプ氏に不利な事実も出てきかねない。すでに今回の解任劇はニクソン大統領を辞任に追い込んだ“ウオーターゲート事件の再来”に擬えられており、米議会では大統領の弾劾の可能性が現実問題として浮上し始めている。
 

  
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