言葉のいじめは本当に怖い
その意味で、言葉によるいじめは本当に怖いものです。
本当は素晴らしいところをたくさん持っている子なのに、周りの子から心無い言葉を渡されすぎると、自分は価値がない子なんだ、力はないんだと間違った自分理解をしてしまうことがあります。
わが子の普段の姿を見て、いいところがたくさんあることを当たり前のように知っている親にとっては、「本当のことでもないんだから、気にしなくていいじゃない」と思われたとしても、本人が自分に向けられた心無い言葉の方を信じてしまえば、それが自分自身になってしまいます。
大人でも、自分を信じられなくなる時はあると思うのですが、自分の歴史を作り始めたばかりの子どもにとっては、渡される言葉の威力は大人とは比べ物にならないぐらいに大きいものです。
ですから、言葉によるいじめを受けた子には、「がんばれ」と背中を押すのではなく、自分自身を取り戻す言葉を渡してあげなければなりません。
「あなたは~が得意だね」「~できる人だね」「君の~なところがお父さんは好きだな」「いつも~がんばれているよね。お母さん、すごいと思う」
などといったポジティブな言葉をたくさん与えられて、その言葉と自分の実感とが結びついていくごとに、子どもは自分を取り戻していきます。
自分の力を信じて、自信の柱をがっしりと立てられるところまで、自分を肯定的にとらえられる言葉を渡していきます。見つける手伝いをしていきます。
親であれ、私のように子どもの学習指導に関わる者であれ、大切なことは子どもが自分自身の力を使えるように手伝うことだと思うのです。
褒めるハードルが高くなっていませんか?
子どもの“天才”にも、本人なりのがんばりにも、楽しく過ごしている時間にも目を向けて、自然と出てくるポジティブな言葉をたっぷり、毎日のように続けて渡していくのです。
ここで一つ気を付けたいのが、褒めるハードルを高め設定にしていないかということ。
まだ自我が言葉として芽生えていない幼児期は、与えられる言葉が子どもの意識を作ります。嬉しい反応も、自信を持つ様子もすぐに返ってくるから、親も、「いいところを見てプラスの言葉をかけていこう!」というモチベーションが上がりますね。そもそも可愛いから、親もほめ上手になりやすい。
しかし年齢が上がってきて、小学校に入ると、やるべきことも増えてきてだんだんと忙しくなってきます。褒めポイントを見つけて言葉を渡すよりも、「あれやったの?」「これ、いつやるの!?」、「なんでできないの!」と言った言葉がついつい増えてくるようです。
「もう4年生なんだから、これぐらいできても当たり前でしょ」と、褒めハードルもどんどん上がっていきます。以前は褒めることがあんなに簡単だったのに。。。
口ごたえも増えてきますし、こちらがせっかくいいところを見つけて褒めたとしても、当の本人の反応も年齢とともに変わってきますね。「ふーん、そうかな?」と取り立てて喜んでくれるわけでもなく、なんなら無反応だったりもして、親としては肩すかしされたような気分になることもあります。
つい、誉め言葉のモチベーションが下がってしまって、ますます言葉が渡せなくなることがどの家庭でも起きるようです。毎日忙しいから、そうのんびりと付き合ってられないという本音もあるでしょう。