夏休み到来で、お子さんをお持ちの読者の方にとっては、頭の痛い問題も発生しているのではないでしょうか。最も多そうなのが、「どこかに連れて行ってよ」、それから「夏休みの自由研究の課題を手伝って」というものではないかと思います。
そんな悩みを一気に解決してくれるのが、社会見学です。月刊「WEDGE」本誌でも2年ほど前から「大人の社会見学」という連載をしております。現場に足を運んでみることの一番の効用は、その名の通り、「社会」を意識することだと思います。自分の生活というのは、様々な人の支えによって成り立っているということです。
見学先については、インターネットでも、例えば「工場、見学」などと検索すると、結構出てきます。これまで、様々な場所を取材してきましたが、やはりおススメなのが、実際に働いている人たちの現場が見える場所です。
日本のモノ作りを支える大田区
例えば、大田区の町工場です。「技術立国」という言葉をよく耳にします。でも、そんな技術を目の前で見たことがあるかといえば、実際に目にした人は少ないのではないでしょうか? 取材で訪れた松浦製作所ではこんなことがありました。同社は、精密加工を得意とする会社で、鉄やアルミなどの塊を切削して、産業機械の部品の一部などを作っています。切削に使う刃を見せてもらうと、あまりに細くて驚きます。
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社長の松浦さんは、展示会のデモ用にピラミッドの形をしたアルミの頂上に、肉眼では見えない迷路を彫り込んでいました。これに驚いた筆者の江上剛さんが「オバマ大統領の似顔絵を彫るとどうですかね」と気軽にいうと、後日本当に彫ってくれました。これが話題を呼んでテレビにも出ました。私たちが、普段便利に使っている沢山の道具も、こうした技術の積み重ねによって成り立っているんだなぁ、と思いを馳せると、深遠な気持ちになります。
大田区の町工場は、会社の都合によって常時見学できるわけではありませんが、個人でも見学可能な会社があります。東京商工会議所大田支部の「モノづくりのまち観光マップ」などを参考にしてみてください。
巨大な高炉と肌で感じる熱気
小さなものの次は、大きなものです。取材先で出会った大きなものといえば、巨大タンカーを造っていた三菱重工神戸造船所、東京電力柏崎刈羽原子力発電所などです。これと肩を並べて大きかった、いや、高さだと一番高かったのが、製鉄所の高炉です。取材で訪ねた新日本製鉄君津製鉄所の第4高炉は、高さ120メートルもありました。高炉の足元には、沢山のレールが走っています。高炉で溶かされた鉄鉱石を、トーピードカーと呼ばれるラグビーボールのような形をした専用列車で運ぶためです。
圧延というという作業では、これまた1.4キロという長い長いラインの上で鉄が引き伸ばされていきます。鉄が流れてくると、頬が火照ってくるほど、その熱を感じることができます。
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