広島の原爆は被害の歴史ですが、軍隊の学校というと、加害の歴史に向き合う必要があります。ただし、それとともにやはり、平和を守るための軍隊という意味も考える必要があるでしょう。海軍兵学校の卒業生である、かの山本五十六大将は、日独伊三国同盟や日米開戦に最後まで反対しました。「百戦百勝不如一忍(ひゃくせんひゃくしょういちにんにしかず)」と知りつつ、最後は国家の決断に従い、真珠湾攻撃を指揮することになります。その山本五十六の言葉として有名なのが、「百年兵を養うは、ただ平和を護る為である」、というものです。考えさせられる言葉です。
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江田島には、広島の宇品港からでも、呉港からでも行けます。しかし、やはり、鎮守部のあった呉から行くほうが、それらしい気もします。呉の街は海に向って開けています。海以外の三方が山に囲まれているからそう感じるのかもしれませんし、海軍の街というイメージがあるからかもしれません。
呉港(呉中央桟橋)は、JR呉駅から歩いてすぐです。江田島小用港まではフェリーで20分。フェリーから遠ざかっていく陸のほうを見ると、ドーム型の煉瓦建物が目立ちます。旧呉海軍鎮守府です。戦艦大和を造ったという造船所や、海上自衛隊の船も見えます。デッキに出て潮風に当たり、陽光を浴びると、流行りの言葉でいうデトックス(解毒)になった気がしてきます。
小用港からは、バスかタクシーで1分程度です。小さな峠を越えると、兵学校です。受付を済ませると見学者控え室に通されます。ここは土産物屋も兼ねているので、待っている間に、何か買うこともできます。
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校内の道路端のアスファルトがきれた部分は、白い土がそのままですが、箒がかけられた縞模様の跡が美しく残っているのが目につきます。
最初に目に入る建物は、銅葺屋根で、壁は白く、イタリアあたりの聖堂を思わせる大講堂です。建物が続いた先には広いグランドと、この学校の表玄関(表桟橋)である海へと続いています。そして、建物越しに古鷹山を筆頭に三つのこぶの山が学校全体を見下ろしています。歴史的建築物と瀬戸内の自然をたっぷり楽しむことができます。
ちなみに、海軍兵学校と並び称された陸軍士官学校のある東京市ヶ谷には現在、防衛省の庁舎が建っていますが、旧陸軍士官学校の大講堂などを見学することができます。
社会見学と一口で言っても、様々な形があります。どんなものに興味があるのか、何が知りたいのか、そんなことからこの夏休み、親子で話し合ってみるのは、いかがでしょうか?
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