リンカーンの息子たちはやんちゃ坊主
4月8日(金)。イリノイ州の州都であるSpringfieldの“リンカーンの家”を見学。ガイド付きツアーであり我々のグループはレンジャーのような制服を着た黒人女性がガイド。彼女はリンカーンの熱烈な信奉者のようであり“初耳エピソード”満載:
*リンカーンは正規の教育は一切受けておらず全くの独学で弁護士資格を取得。
*この家を購入するときリンカーンは資金がなく裕福であった奥さんの実家が資金提供。
*リンカーンは190センチ以上の長身だったが奥さんは150センチ以下と超小柄。
*リンカーンの4人の息子はやんちゃ坊主で最初のイリノイ州議員選挙運動中に大声で騒ぎながら街中の人々に支持を訴えたので逆に近隣の悪評を招いて落選。
*息子たちの余りのやんちゃぶりにベビーシッターのお手伝いの少女は長続きせず頻繁に新しいお手伝いさんを探していた。
*4人息子のうち3人は早逝し成人したのは1人だけ。家庭の不幸を乗り越え南北戦争を指揮したリンカーンの不屈の精神。
リンカーンの最大の政敵は“小さな巨人”、主張も外見も真逆
4月9日(土)。イリノイ州議事堂は堂々たる19世紀の建築である。議事堂前の庭園の真ん中の一番目立つ場所に頑固で不敵な面構えの短躯な人物の銅像が立っている。リンカーンの銅像はあまり目立たないところにあった。
リンカーンを差し置いてあたりを睥睨している銅像のプレートを読むと『スティーブ・ダグラス、イリノイ州選出の上院議員でリンカーンが共和党候補として出馬した1860年の大統領選で民主党候補として戦って敗れた』という人物だ。イリノイ州出身議員として政治活動歴は長く短躯(議事堂のパンフレットでは160センチ以下だったよし)であるが偉大な政治家として議事堂の正面に立っているようだ。ニックネームはずばり“Little Giant”(小さな巨人)。
ダグラスの主張は奴隷制度については各州の住民が決める問題であり各州の民意が尊重されるべきという立場で奴隷制度そのものは認めている。イリノイ州議事堂の内外に何体も石像や銅像が飾られていることから、奴隷制度を是認したダグラスの政治理念や政策論は19世紀後半のイリノイ州をはじめ米国市民から広く支持されていたということであろう。
石材やシャンデリアは欧州各国から輸入、絢爛豪華なイリノイ州議事堂
州議事堂でも30分毎にガイドツアーが組まれている。上院議会がある4階から順番に見
学してゆくとイリノイ州の歴史が各階に描かれた壁画や絵画で理解できるような仕組みに
なっている。
ガイドの説明では19世紀後半にはイリノイ州は農業・鉱工業が発展した結果莫大な富が集積され議事堂建設には全米各地から最良の石材が集められ更に色鮮やかな大理石やシャンデリアなどが欧州各地から輸入された。19世紀後半に強大な大国として台頭してきた新興国家アメリカのすざましい熱気を感じた。