私の体験では世界中で中国、インドネシアがゴミのポイ捨てではワースト2であったがインドは中国、インドネシアに引けを取らないポイ捨て大国であろう。
この観光バスに乗っていた14人は少なくとも避暑地で休暇を過ごすお金と時間のある階層に属する。すなわち無知蒙昧な連中ではない。ゴミを自分の生活空間から排除することが当然の行為であると認識しているような雰囲気であった。
当然ゴミのポイ捨てが環境に与える影響については十分理解できる教育水準であるはずであるが。なんとも理解し難い行状である。ある時インド経験の長い日本人ミュージシャン夫妻と話しているときに興味深い考察を拝聴した。
カースト制度により共存社会が維持されているらしい?
「ゴミを当然のようにポイ捨てする習慣はカースト制度の下で歴史的に形成されてきたのでしょう。カースト制度では掃除する人、ゴミを集める人、ゴミを運ぶ人など詳細に階層が分かれています。普通の人々がゴミを捨てることでそうした階層の人間の生活が成り立っているわけです」とドラマーのご主人は考えながら語った。
さらに「身分制度を擁護するつもりはありませんが、インド社会がひどい貧富の格差にもかかわらず独特の調和を保っているのもカースト制度が一種の社会保障の役割を果たしているからではないでしょうか。逆説的ですがカースト制度という身分制度のお陰でどんな人間でも最低限の仕事が保障されるわけです。カースト制度が広い意味で社会の安定に繋がっているという一面もあると思います。」と続けた。この解釈が妥当なのか専門家の意見を聞いてみたい。
レストランでは定番で大外れ
観光バスは果樹園や展望台などに寄りながら午後2時前に動物園前に到着。ランチタイム休憩というので比較的高級そうなレストランに入った。
当たりはずれのないチキン・フライド・ライスとコーラをオーダー。いわゆるチャーハンである。インドでは中華料理が土着化しておりメニューに“チャイニーズ”というジャンルがありフライド・ライスとチョウメン(炒麵=やきそば)は定番中の定番である。
ところが出てきたチキン・フライド・ライスを一口食べると驚くべき不味さであった。どうやったらこんなに不味いチャーハンができるのか不思議なほどであった。チャーハンの本来の料理のプロセスを知らないインド人コックが見様見真似で作ったようだ。
油でベトベトのぱさぱさご飯。キャベツもニンジンも生焼け。チキンも生っぽい。フライパンにご飯を入れてそれから肉、野菜を入れて最後に油をたっぷり注いでよくかき混ぜずに炒めたと推測した。
インドでは子供は放し飼い?
相席になったインド人のカップルと食事をしながらおしゃべりしていたが周囲の喧騒により話し声が聞き取れない。家族連れの子供たちがレストランの中を走り回ってキャーキャー騒いでいる。
親たちは子供を注意しないどころか、まったく子供の行動に注意を払っていない。中国では一人っ子政策により子供が甘やかされて育つために公共の場で我儘一杯に騒いでいるのは日常茶飯事である。インドでは逆に子供が多過ぎて親が躾まで手が回らないということなのであろうか。
⇒第6回に続く
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