2024年12月20日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2017年9月25日

「国がいつでも借金できる」との大前提を信じるか否かがポイント

 家族の仲が悪くなれば、様々な問題が生じるでしょう。妻は夫に「金は貸さない」と言い、夫は親と子に「小遣いを払わない」と言い、家族は崩壊するかもしれませんが、各人がそれを知っているので、無茶は言いません。夫が不足している分は妻(および親および子)が借りたいだけ貸してあげます。夫もそれを知っているので、赤字を気にする必要もありません。

 つまり、民間部門が喜んで国債を買い続けることを前提とすれば、国の赤字は気にする必要が無いのです。その前提については、拙稿「財政の破綻が懸念されるのに、なぜ人々は国債を買うのか」をご覧ください。拙稿は、少数説ですから、同意して下さらない読者も多いと思いますが(笑)。

 上記のように、国の財政を夫の財布にたとえれば、夫が倹約した場合(親や子への小遣いを減らした場合)、親や子の収入が減ります。上の例では、妻が半分失業したり、親や子が手抜き料理で我慢させられたり、夫が親や子に御馳走したりする必要が出てくるかもしれないわけです。

 それが望ましいことなのか否かは、「将来、家族の仲が悪くなり、もう貸さない、といった最悪の事態」が起きるか否かにかかっています。最悪の事態を避けるためならば、家族の生活水準を落としてでも、夫は親などへの小遣いを減らすべきでしょう。しかし、そうした可能性は高く無い、というのが上で御紹介した拙稿の考え方なのです。

  
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