競馬で外れ馬券につぎこんだお金は、必要経費として認められるのか否か。最高裁まで争われた裁判が、昨年12月に確定した。
「ギャンブルは運次第」ではない
私自身は、競馬や宝くじなど、ギャンブルはどれも運次第、と思っていたので、数回試すことはあっても、大金を賭けたことはほとんどない。とはいえ、自営業者のはしくれとして「必要経費」の部分が気になっていた。
新聞報道によると、競馬で利益を上げた男性の外れ馬券代が経費として認められるかが争われた民事裁判の上告審判決で、最高裁は、「男性の馬券購入は営利を目的とした継続的行為で、外れ馬券代は利益を上げるために必要な経費だった」として、国側の上告を棄却した。これにより、約1億9000万円の課税処分を取り消した2審・東京高裁判決(2016年4月)が確定した。
判決によると、男性は05~10年に約72億円分の馬券を購入し、約78億円の払い戻しを受けた。国税当局は、払戻金は懸賞金などと同じ「一時所得」にあたり、的中馬券代しか経費に算入できないとして追徴課税した。
これに対し最高裁は、男性がコースなどによって馬券購入パターンを決めて年間3億~21億円分の馬券を購入し続けており、払戻金は「雑所得」だとして、外れ馬券代も経費算入できるとした。
最高裁は15年3月にも、競馬予想ソフトで馬券を大量購入していた別の男性が所得税法違反に問われた刑事裁判の上告審判決で、「長期間にわたり網羅的に馬券を購入し利益を上げ続けた場合、外れ馬券代は経費」という判断を示していた。
これらの報道を読んで、「必要経費」についての当初の私の興味は吹き飛んだ。それよりも、「コースによってパターンを決めて年間3~21億円の馬券を購入」したり、「競馬予想ソフトで長期間、網羅的に馬券を購入」したりして利益をあげている人たちがいる、という事実に愕然とした。運ではない、確実な攻略法があるというのか?
その驚きが、本書を手に取らせた。「科学がギャンブルを征服する」という副題が示すように、今やギャンブルのあらゆる領域で科学的攻略法が編み出されている、と本書は伝える。
最新の攻略法は、「ギャンブルは運次第」という古い常識を覆し、「驚くべき精度で結果を予測、ライバルやカジノの胴元を出し抜いて優位に立ち、儲けを出し続けている」というのだ。