世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年2月14日

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 この論説は、米国がエルドアン政権に圧力を加えすぎると、トルコが不安定化し混乱しかねないことを警告しています。エルドアンを、安定をもたらす独裁者として容認していかざるを得ない可能性を指摘した上で、トルコの権威主義からの脱却を支援することを政策の柱とすべきことを主張しています。一つの現実を踏まえた考え方ではありますが、それ以上のものではありません。

 大体エルドアン独裁を、安定のために容認しつつ、トルコの権威主義的統治からの脱却を促すべしというのは、自己矛盾した提言であり、こういう政策は成功しない可能性が強いです。

 トルコの不安定化と経済の失速は、エルドアンが作り出した側面が大きいです。米国の政策のゆえに現在のトルコの情勢が出て来ているわけではありません。クーデタ未遂後の弾圧、非常事態宣言の延長など、法の支配の欠如が外国資本の逃避につながっています。米国がトルコに強硬に出ると、ますます不安定になる、カオスになる、あるいはトルコ内の反西側勢力を元気づけるとの判断にも疑問があります。

 トルコは、今はエルドアンのせいで反西側、反民主主義的ですが、トルコ内の親西側、親民主主義の勢力はそれなりに強いと判断できます。そうであれば、米国はエルドアンの政策に対して批判すべきところは批判し、これらの親西側、親民主主義的な勢力を支援していくべきでしょう。エルドアンは新しいスルタンと呼ばれていますが、選挙で選ばれた人であり、今後も選挙の洗礼を受けざるを得ない人です。

 エルドアンにどう対応するかは難しい問題ですが、民主主義を尊重するという米国の価値観を踏まえて対応することが良い政策であるように思われます。政策の効果は、実施の時には、はっきりしないことも多いです。そういう時には、自分の価値を基盤とした対応をするのが良いですし、またそれしかないのではないでしょうか。

 トルコに進出している日本企業も多いですが、今後、米・トルコ関係の悪化、トルコ情勢の不安定化がひどくなる可能性は高いので、それに注意した対応が要ると考えられます。

  
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