2024年4月19日(金)

自治体首長インタビュー

2018年12月6日

まちづくりは時間がかかる

 「V字回復した」と言われる熱海。齊藤市長も4期目を迎え、今後どのようなビジョンを描いているのだろうか。

 「4期目の公約に『回復から躍進へ』と掲げていますが、これから熱海がもっと発展していくためには、観光事業の枠組み自体を変えないといけないと考えています。その一つとして『DMO』を作ることは必要だと思います。これが世界の潮流であり、行政も民間も専門家も一緒にまち全体を経営していく……。ハワイ然り、ヨーロッパ然りですよね」

*Destination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の頭文字の略。『地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人』(観光庁HPより)

 「重要なのは専門性と機動力です。そのためには例えばマーケティングのプロを正当な対価を支払って雇い、その人を核に関係者10人くらいの組織体にするイメージです。大きな方向性とビジョンを策定し、具体的な施策に落とし込んでいきます。基本的に行政は年度単位の予算設定で動くので、刻々と変わっていく状況に対応するのが難しい場面が多々あります。ですので、民に近い形でのDMOで、専門性と機動力をもって運営していければと思います」

 「その運営のために、私が4期目の立候補の際に掲げた『宿泊税』を当てることも考えています。宿泊税に限らず、たとえば入湯税を上げる、という選択肢もあるかもしれません。いずれにしても、観光事業は常に新しい投資をし続けないと飽きられてしまいます。そのための財源確保は考えていかないといけません」(齊藤市長)。

 まちづくりは時間がかかる。2016年には約10年かかってやっと不良債務を解消した熱海市。これまでの取り組みも「まずは3年は続けてみよう」というのが齊藤市長の信念だ。大切なのは自分たちの頭で考えること。観光事業であれば、他のまちが追いつけないコンテンツを作り出すこと。それぞれの自治体がいかに自立していくか、もっと真剣に考えていかなければならないだろう。

●熱海市基本情報
伊豆半島の東側に位置し、相模湾に面する。人口37,284人(平成30年2月末時点の住民基本台帳人口)、21,458世帯(一世帯あたり約1.7人)。産業構造は、宿泊業が大きな割合を占める。江戸時代から湯治場として栄え、昭和9年の丹那トンネルの開通によって観光地化・大衆化が進み、その後新婚旅行や社員旅行のメッカに。その後の衰退、回復は記事の通り。
●イベント情報
<忘年熱海海上花火大会>
2018年12月9日(日)・16日(日)時間 20:20~20:45
場所 熱海湾(熱海サンビーチ~熱海港)
https://www.ataminews.gr.jp/event/8/

<第75回熱海梅園 梅まつり>
2019年1月5日(土)~3月3日(日)
時間 8:30~16:00
場所 熱海梅園
https://www.ataminews.gr.jp/ume/

<第9回あたみ桜 糸川桜まつり>
2019年1月12日(土)~2月11日(月)
時間 見学自由(ライトアップ 16:30~23:00)
場所 糸川遊歩道
https://www.ataminews.gr.jp/event/208/


  
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