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2019年2月17日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

国会も調査を

 その上で久保利弁護士は「世の中は第三者委員会に対して厳しい内容の報告書を求めており、第三者委員会が調査対象を厳しく批判するような報告書を出すことで、調査対象の組織や会社は出直すことができる。しかし、第三者委員会が厳しい報告書を出さないと、真相究明から逃げようとしてしまう。厚労省の特別監察委員会は真相を隠すための『隠れ蓑』になっており、『隠れ蓑』をはがすためにマスコミはもっと追及してほしい」と述べ、特別監察委員会が本来の役割を果たしていないとの見方を示した。

 また久保利弁護士は「民間の場合、不正を行った社員は罰則が適用されるが、国家公務員の場合は適用する罰則がない」と述べ、今回の統計不正問題について誰も責任を取らないことへの懸念を示した。

 また福島第一原発事故を検証した国会事故調査委員会を例に挙げ、今回のような統計調査不正問題では立法府である国会も立ち上がるべきで、「政局に絡めるのではなく、国会としても不正を正すべきだ」との考えを明らかにした。

重要なビジネスに

 食品偽装や検査データの改ざんなど企業不祥事が後を絶たないことから、不祥事が表面化する度に弁護士を構成メンバーとする第三者委員会が立ち上げられている。企業のM&A(買収・合併)の件数が減る中で、久保利弁護士によると、弁護士にとって第三者委員会の報告書をまとめる業務は期間が長期になることから重要なビジネスになりつつあるという。その一方で、第三者委員会の依頼者である会社側に意に沿うような報告書を出していては、弁護士として中立性を疑われることになる。弁護士は今後、第三者委員会報告書の作成に当たっては、第三者委員会の役割をどのように見るかが問われそうだ。

  
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