慎ましく、よきフランス人が想像以上に存在した
決して、この動きは、移民やその他の騒動好きによるものではなく、持続可能な社会を作るのはいいが、自分たちの生活が持続くなるほうが先だという危機感から始まった、かなり健全な市民運動であった。
飛び入りが、建物を壊し、死人も出ているが、ゴム弾で失明をしたリーダーの一人は果敢に活動を続けている。
この一件だけで、マクロンは終わりだという論調が日本も含めて海外みられたが、ほんとにそうであろうか。
ドゴールもゼネストをうたれ、ミッテランも拙速な国有化を実行し、実現後、更に民営化という大混乱を引き起こしている。
彼らと比較すれば、マクロンは誠意の人であることは間違いないが、逆に老獪さが足らなかったことと、軽油燃料代が上がればディーゼル車が減少し、持続可能な社会が作れるとの短絡が間違いであったのだ。
月間わずか数十ユーロの負担増に耐えられない、慎ましく、よきフランス人が想像以上に存在したということであろう。
逆に考えれば、そんな小さなお金にこだわり、国民が行動にでる国家はむしろ賞賛すべきものであろう。
フランスの騒動は、6月になると終わってしまうといわれる。マクロンは反省したとはいえ、今回の運動の開始は、時期的に早かったので、バカンスまでにまだ時間に余裕があるのは気がかりの一つだ。あと5カ月このままもてば、一皮むけるのだが、さて。
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