2024年12月9日(月)

栖来ひかりが綴る「日本人に伝えたい台湾のリアル」

2019年5月18日

(写真:筆者提供)

 「ことしパートナーと結婚式を挙げるから、ひかりさん出席してくれる?」

 台湾人の友人に先日こう聞かれ、飛び上がって手を叩きたいぐらい嬉しかった。彼女はレズビアンの当事者で、これまで台湾におけるLGBTQ事情について考えるとき、いつも相談にのってくれる心より愛すべき親友だ。それでもここ数ヶ月は、本当に無事に同性婚法制化が進むのか、ヒヤヒヤしてもいた。非常に保守的な側面もある台湾社会のなかで、同性婚に反対する人の少なくないことが、去年の国民投票で可視化されてしまったからだ。

「アジア初」の快挙

2019年5月17日、法案を審議している立法院の近くで行われた集会には、たくさんの支持者が詰めかけていた(写真:筆者提供)

 2017年の5月24日にでた「同性婚を認めないのは違憲」とする台湾大法官の憲法解釈によって2年後、つまり今月の5月24日から民法もしくは特別法によって同性同士の婚姻が認められる事となった。しかし昨年11月の公民(国民)投票において、同性婚を支持しない民意が支持者を上回ったことを受け、特別法案が作られる運びとなる。
(参考記事:「同性婚反対」に傾いた台湾社会の矛盾

 立法に向けて準備されていた草案は3つ。ひとつは行政院(内閣)の作成したもので民法にもっとも近い平等性を保障するが、その他2案はキリスト教系団体などからなる同性婚反対派の作成で、権利や保障内容はより限定的となっていた。

 それが、2019年5月17日の立法院(国会にあたる)における審議によって、27条ある項目すべてにおいて、現政権の出した法案が通過した。つまり台湾は、名実ともに異性婚とほぼ平等な形で同性婚の出来るアジア初の国家となったのだ。

 筆者も立法院そばで行われた支持者らによる集会に行ったが、涙を流してみんなが喜びあう姿をみて、思わずもらい泣きしてしまった。

 こうして、アジアでもっとも先進的な人権と平等性のありかたを世界に見せた台湾。縁あって長年暮らしている一人として、心より誇らしく思う。


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