Washington Files

2019年9月9日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

防衛省も北朝鮮が核の小型化、弾頭化を実現したと判断

 おりしも、わが国防衛省は、北朝鮮の核兵器開発に関連して「すでに小型化、弾頭化をすでに実現した」との判断を下しており、近く公表予定の「2019年防衛白書」の中でも言及される予定という。

 もしその通りだとすれば、この「小型化、弾頭化」の目的は従来のICBM用ではなく、SLBM兵器化を念頭に置いている可能性が高い。なぜなら、大型核ミサイルは潜水艦搭載には不向きであり、核弾頭1個ではなく複数個を装備し、相手国にとって圧倒的脅威となる「確証破壊」能力を誇示するには、小型化した弾頭の潜水艦配備の方がはるかに優れているからにほかならない。

 これまで北朝鮮の核開発問題について、一般のアメリカ国民の関心は、わが国とは異なりそれほど高かったとはいえない。そのひとつの理由は、かりに北朝鮮がICBMを実戦配備したとしても、実際に脅威の具体的対象になるのは「太平洋側のハワイやアラスカ程度」の認識しかなかったからだともいわれている。

 しかし、SLBMを搭載した潜水艦が首都ワシントンかニューヨークに接近する事態が到来したとなると、米国民がパニック状態に陥るのは必至だ。

 1962年10月発生した「キューバ・ミサイル危機」は世界を震撼させる深刻な事態に発展した。旧ソ連がフロリダ州マイアミからわずか520キロしか離れていないキューバに核弾頭装備の「SS4」中距離弾道ミサイルを配備したのが発端だった。

 北朝鮮は去る7月25日早朝、元山付近から日本海に向けて新型短距離弾道ミサイルを発射した。推定飛行距離は430~690キロ程度と推定されている。トランプ大統領は日本側の懸念をよそに「短距離だから問題視しない」と冷淡な反応しかみせなかったが、 

 北朝鮮がもしこの種のミサイルをいずれ「小型化、弾頭化」し、SLBMとして兵器化に成功した場合、わが国のみならず、アメリカにとっても「第2のキューバ危機」と成り得る重大な問題だ。

 このような新たなSLBMの脅威に対処するのに、何ができるだろうか?

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