2024年2月21日(水)

Washington Files

2019年10月7日

ロシアに近づき、ウクライナと距離を置いたトランプ

 ロシアは去る2014年3月、ウクライナのクリミア半島侵攻そして併合以来、これに反対するオバマ政権下の米国はじめ多くの西欧諸国と厳しく対立してきた。ウクライナ側もその後、威圧的なロシアと向き合うために、アメリカからの支援を当てにして来た。

 しかし、トランプ大統領は2017年1月就任以来、ロシアへの反発を強めるウクライナとの関係に距離を置く一方、複数回にわたる首脳会談を通じ、逆にプーチン大統領との親密な関係を築いてきた。さらに、ウクライナ大統領選における親ロシア派の候補支援にも乗り出した。しかし、結果は裏目に出て今年4月の選挙では、反ロシア派のゼレンスキー氏が当選。トランプ大統領はその直後に国防総省に対し、米議会が承認していたウクライナに対する3億9000万ドルの軍事援助の凍結を命じた。

 そして今回の弾劾論議に直接火をつけたのが、トランプ大統領が7月、ゼレンスキー大統領と行った電話会談の中で、軍事援助の見返りに、民主党の最有力候補ジョー・バイデン元副大統領の次男に関する捜査への協力を求めたことだった。

 このウクライナ疑惑は、8月にCIA担当者が行った「内部告発」とほとんど符合する内容だったことから、民主党幹部が「弾劾成立」への自信を深めたと理解されている。

 すでに民主党は、追及の窓口をアダム・シフ下院情報特別委員会委員長に一本化するとともに、「内部告発」をしたCIA担当者本人はじめ急遽解任された駐ウクライナ大使ら重要人物との接触、喚問、公聴会の準備を急いでいる。

 これまでの段階で情報特別委員会専任スタッフは具体的に、トランプ大統領を「弾劾」する“容疑”内容として、①選挙資金法違反 campaign finance violation②贈収賄 bribery③「公務執行上詐欺」honest services fraud④強要 extortion➄証言者脅迫 witness intimidation⑥司法妨害 obstruction of justice⑦共謀 conspiracy―などに絞り込み、それぞれの項目について立件の可否を精査中だ。

 米有力電子メディアViceが、わが国の東京地検特捜部に比肩されるニューヨーク連邦地検元検事らベテラン捜査関係者たちの分析として報じたところによると、これらの“容疑”のうち、きわめて違法性が高いとみられるのが、選挙資金法、贈収賄、「公務執行上詐欺」の3つで、とくに贈収賄(刑事訴訟法18章第201項)が最も重視されるという。大統領がウクライナ大統領に軍事援助の意向を示し、見返りに来年米大統領選で自らの再選に有利となるライバル候補の捜査をウクライナ側に求めた行為が、明確に同項に抵触するという見方だ。

 今後、弾劾審議に直接携わることになる民主党下院議員団の全体の雰囲気は、弾劾に逡巡する議員が少なくなかったロシア疑惑の時とは異なり、今回ウクライナ疑惑では追及支持が大勢を占めている。


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