Wedge REPORT

2019年10月26日

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農業のデータ化進む日本に進出

 ところで、XAGはなぜ日本に初の海外拠点を置いたのか。その理由は日本で農業の機械化、データ化が進んでいるからだという。特に薬剤散布の分野では、無人ヘリコプターによる散布に長年の実績がある。「日本では30年前から無人機による散布を始めているけれども、中国ではここ5年の実績だ」とジャスティンさんは話す。かつ農家の高齢化が深刻で、今後スマート農業を通じた高齢化と労働力不足への早急な対処が必要だと見込まれることも進出の要因だ。

 中国と日本では顧客層が異なる。中国では、機体を購入するのは農家から散布作業を請け負う業者が多い。国内では主にコメ、麦、大豆の生産現場で使われており、顧客は農家を想定する。散布対象は平らで長方形の整った圃場ばかりではない。果樹の周りをらせん状に飛んだり、いびつな形の棚田を飛んだりと複雑な航行が可能だ。斜面にある柑橘畑での実証目的の飛行が国内ですでに行われている。

 国内では今年度と来年度で相当の台数を販売すると掲げる。XAIRCRAFT JAPAN代表取締役の住田靖浩さんは「農家の圃場一つひとつについて、センシングなどでデータを積み上げ、どの時期に何をどう散布するかという指導や、生育の指導まで踏み込んだサービスも今後提供したい」と話す。

 ドローン1機のRTK基地局といった周辺機器も含めたセット価格は約350万円。競合他社と比べて決して安くはない価格に、性能で勝負する姿勢が現れていると感じる。国内では今後、複数の農家が共同で防除する組織や大規模農家などが顧客となる可能性がある。

 筆者がXAGに関心を持ったのは3年前。新疆ウイグル自治区の綿花畑を中心にすでに相当の面積の散布実績があった。当時は深圳を中心にドローンメーカーが雨後のタケノコのように乱立。そんな中でも一歩抜きんでた存在だとみられていた。日本国内での認知度はまだ低い同社だけれども、グローバル企業に化ける日はそう遠くないのではないだろうか。

  
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